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9月10日の土曜日は、仕事の後、漢方の初学者を集めての傷寒論講義を行いました。

第1回目とあり、傷寒論をどのように読み、臨床へ展開していくのかということを中心に話をしました。

傷寒論については、臨床的に読むことができるようになると非常に奥深く、人体の構造把握とそれらの異常に対する生薬の使い方などが明確にわかるのですが、それを1から丁寧に説明してくれている解説本は皆無です。

なので興味を持ちながらも、読むことをあきらめ、わかりやすい現代中医学系に流れてしまうのでしょう。

僕自身も、傷寒論は十数年前から読み始め、未だにわからないことだらけで、師匠の足元にも及んでいな状況であることからも、この本の難解さがよくわかります。

ただいきなり師匠が展開する高度な傷寒論の臨床応用を聞いたところで、基礎ができていない人たちは、「なんのこっちゃ?」になってしまうため、勉強会に参加しても次々に脱落してしまうわけです。

これでは日本屈指の師匠の漢方理論が埋没してしまうという危惧、師匠と初学者との橋渡しをすべきだという思いから今回の勉強会の開催になりました。

これから傷寒論を読むにあたっての基礎を時間をかけてじっくりと理解し、そこから本格的に傷寒論の条文を学び、人体の構造把握と生薬の使用法について勉強していきたいと思います。

今回の勉強会は、一般的な漢方の勉強会に比べて非常にハードルが高いため、参加者はそんなにいないだろうと思っていましたが、フタを開けてみれば、12名の参加者がおり、ビックリしました。

この12名の方を自分がどこまで引き上げることができるかわかりませんが、少しでも漢方の面白さに気づいてもらえるように頑張りたいと思います。


その勉強会が終わった後は、「子宝カウンセラーの会」改め「統合医療生殖学会」の懇親会に参加してきました。

子宝相談の分野では超有名な先生とお話しさせていただき、とても勉強になりました。

お話しさせていただく中で、自分との考え方の違い、どのように不妊症を捉えているかの違い、そしてそれをどう改善していくのかの違いについて、収穫がたくさんありました。

廣田漢方堂では、どんな疾患であれ、東洋思想を中心とした陰陽五行論と現代医学的解剖学、生理学、そして現代の社会構造をベースにした思考に基づいて、不妊症を分析しています。

巷でよく言われているような「冷え」・「食の乱れ」・「運動不足」・「ストレス」・「喫煙」・「アルコール」などは原因の1つではあるけれど、決してそれらがメインであるとは考えていません。

また不妊症には「偽性」と「真性」の2種類があり、ほとんどの人が「偽性の不妊症」であり、子供を作り、育むための機能の一部が正常に機能していない状況にあるため、なかなか子供ができないという風に考えています。

そしてその原因には、年齢・社会環境・生活習慣など様々な要因が複雑に絡み、「妊娠・出産」という場における五行が乱れたり、五行間をつなぐ血脈・三焦が傷んだりしていることが根底にあると考えています。

この考えに基づいて、体外受精にチャレンジされる方のフォローをすることで、妊娠される方が増えている事実があります。

僕自身は、漢方理論に基づいて、ある意味確信をもって不妊症の相談に乗っているため、普段から「子宝関連の勉強会」には一切参加しないのですが、今回はぜひとも1回お会いしたい先生がいたので懇親会に参加させていただきました。

再び、この業界からは距離を置いて、自分独自の世界観で勝負をしていきますが、今回の出会いで、また1つ新たな世界が見えてきたので、それを自分の臨床に応用すべく頑張りたいと思います。


手軽な漢方ではなく、地道に漢方と向き合いながら、昔と今の違いをちゃんと認識して、高度な漢方療法ができるようにこれからも頑張っていきたいと思います!
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(103) 太陽病,過経十余日,反二三下之,後四五日,柴胡証仍在者,先与小柴胡湯;嘔不止,心下急,鬱鬱微煩者,為未解也,与大柴胡湯下之則愈。

~訳~
太陽病が少陽へと伝変して10日あまり、反って之を2,3回下した後、4,5日経過して、柴胡湯証がまだある場合には小柴胡湯をまず与えなさい。その上で、嘔がやまず、心下急して、鬱々と微煩する場合には、まだ和解されていないから大柴胡湯を使って之を下せばよい。


~解析~
太陽経に存在した邪が少陽の半表半裏に伝変して10日あまり経過していても、邪がなお少陽の半表半裏にいれば、和解させればよいのである。(つまり、発症してから何日経ったからといって早計に治療方針を決定するのではなく、あくまでもその人の症状を的確に捉えて弁証を行えという戒め)

たとえ日数が経過していても少陽半表半裏に邪がいる場合には、まず小柴胡湯を与えて、少陽枢機の働きを回復させ、その上で起こる症状の変化を捉え、更に治療を行えばよいのである。

少陽の病変は心下に集中することもあるが、上焦心肺は太陽との関係が最も深い。中焦脾胃は陽明との関わりが深く、これが表裏となる。半表半裏である少陽は心下に位置し、これが横隔膜・膈となり、そこは陽明穀道の通過する場所でもある。したがって、ここに邪が集約すると、下は胃に位置し、木火(気滞により全身に巡ることができなくなった相火が鬱熱化したもの)が陽明に肉薄することによって胃熱が生じ、胃失和降が起こるために嘔が起こる。また心下急とは心下に邪が集約するために、心下が苦しくなったり、胸騒ぎやむかつきなどの症状が起こるのである。

この場合には、邪が陽明に近いところにいるため、発汗などを通じて邪を表に追い出すのではなく、裏から下して抜いてやるほうが治しやすい。そのため大柴胡湯を使って、これを下すとよいのである。ただし陽明燥熱はさほど深刻ではないため、燥屎を形成するまでには至っていない。

燥屎が形成されるのは陽明胃と近い小腸上部での燥熱(小腸は火腑であり熱エネルギーの量が高いため、容易に水穀を乾燥させる)であり、その小腸上部の熱を蕩滌する芒消を使うほどではない。

したがって、枳実・芍薬で少陽に鬱滞している気を破り、鬱滞している相火を再び巡らせて、余分な熱邪は腸道に注ぎ出し、その熱を大黄を用いて便中から排泄させれば、胃の和降の働きはおのずと回復するはずである。

この場合、外邪が内陥して少陽に落ち込み、大柴胡湯証を形成した場合のみならず、食べ過ぎ・飲み過ぎで、そのまま寝てしまったりして食積が心下につまり、そのために少陽三焦の気機が巡らず、肝胃不和となり嘔吐が止まらなくなるケースもある。そういった場合にも、大柴胡湯を使用してよい。

大柴胡湯の舌診は、三焦の気機が巡らず、実証の為、内はパンパンに張っている状態。したがって舌質は歯痕などなく、パンパンに張った脹舌で、やや乾燥した白膩苔もしくは黄膩苔を形成している。

一方、同じく熱証を処置する加味逍遙散の場合には、白朮や茯苓、当帰といった補剤が配合されている関係上、舌診ではやや歯痕が見られたり、脹舌の中にトウフ舌が混ざっていたりして、やや虚証を帯びた状態となっている。


~実際の臨床応用~
大柴胡湯を使用する場合は、「心下急、鬱鬱微煩者」で心下が気滞によって動かないため、詰まったような感覚を覚え、そのつまりで相火の鬱熱が生じるので、鬱鬱として微煩するを目標とする。

しかし実際の臨床で、条文のような典型的な症状を訴えることはほとんどない。腹診をしても、胸脇苦満すらないパターンもあるのに大柴胡湯を用いるケースも多々ある。

大切なことは、条文の言葉に踊らされるのではなく、この条文の意味、その裏に隠された病理を捉えることである。

最近の例では、肩こり・頭重感が酷く、1日中、肩周囲が重だるいと訴える女性に対し、大柴胡湯を処方した。

肩こりは移動性ではなく、固定性で重だるい感じで、張った感じやシコリ感はない。患部を触ると僧帽筋は硬くなっており、柔軟性がない状況であった。

舌はそれと呼応するように、パーンと張った脹舌で暗紅色で血色悪く、緊張から血脈・リンパの流れが悪いことが想像できた。舌の裏を見ると舌の縁がより赤みが強く、気鬱によって身動きの取れなくなった相火の熱がたまり、鬱熱化していることがうかがい知れる。また舌下静脈は大きく張り出して、どす黒い色になっていることから気滞血瘀が存在していることが分かる。

脈に関しては、気滞血瘀があり、瘀血が強ければ渋脈傾向となることが多いが、そうではなく寸・関・尺それぞれの力強く脈打っており、浮・中・沈位でも脈力は落ちることなく、「滑大脈」となっている。

これは気の太過であり、気鬱によって閉じ込められた相火が脈気を煽り、血を押し出しているために生じているものと考える。

腹診では胸脇苦満や心下のつまりは一切なかったが、この女性の場合は「膈」という位置に気の停滞、それに伴う相火の鬱熱、そして三焦水道のつまりを生じていなかっただけで、後頭部から肩周囲にかけての肌肉層にて、気が詰まり、相火がたまって、水道が動いていない状況が形成されている。

これらのことからこの相談者の身体では、僧帽筋周囲の筋肉の気血津液の昇降出入が気滞によって阻まれ、そしてそこで身動きの取れなくなった相火が鬱熱化し、肩の筋肉の潤いを枯渇させて萎縮させ、どんどん硬くなっている状況がある。しかしそれはあくまでも三焦気分レベルの問題であり、血分に波及して、瘀血を形成し、物質的なシコリとなるまで入っていない。

つまり、条文の「心下急、鬱鬱微煩者」の状況が心下から肩という位置に変化を起こしているだけである。

肩に関しては、瘀血による凝り感などはないし、頭痛もズキズキするというよりも重たいという水が中心の症状であったため、舌診上では気滞血瘀の兆候があったものの、主訴には直結していないと考え、あえて活血剤は使用せず、大柴胡湯のみを処方。また加減方で芍薬を加えようかどうか迷ったが、筋痙攣的な急迫症状もなかったため、それらも行わなかった。

大柴胡湯には大黄が配合されており、それだけで駆瘀血、除血閉の作用があるため、その他の活血剤を使用しなくても大丈夫だろうという考えもあった。


傷寒論の条文を臨床で応用するためには、このようなイメージで考えると非常にわかりやすくなる。

ただし僕の傷寒論の運用方法は、「黄帝内経」からの陰陽五行論、蔵象学説などに基づいた病理に西洋医学的な解剖学・生理学をミックスさせた独自の整体観のもとでの論理展開であることに注意が必要である。

そのため一般的な中医学理論のみで運用しているわけではないし、方証相対を重んじる古方派のような日本漢方による運用ではないので注意が必要だ。

こういう理屈っぽく考えるやり方を名古屋玄医や吉益東洞は、めちゃくちゃ嫌いだったんだろうな~と思う。
僕の臨床スタイルは、いわば田代三喜やその弟子、曲直瀬道三らの後世派に近い考え方のような気がする。


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中医学基礎をいくら勉強したところで、それを臨床的に運用できなければ、漢方の腕は上がりません。

ただし、それらを実際に応用できるようになると、新しい着目点に気づくことができるようになります。

新しい着目点に気づくことができれば、あとはそれが実際にそうであるかどうかを確認すればよいだけです。

今日はそんな想像力のお話です。


現代人は、昔の人に比べて圧倒的に運動不足であり、身体を使っていません。昔は食料不足と過度の運動から虚労となり、「脾腎」を傷っていました。

しかし、現代人は、本来加齢に伴って代謝が落ち、その分、節制しなければならないにもかかわらず、逆に年齢を重ねるほど、食事におけるカロリーがオーバーし、糖質過多の状況です。

運動不足と糖質過多が重なり、筋肉は萎え、糖質、脂肪がたまった「脾虚湿盛」の状況です。

さらに肉体労働が減り、その分、パソコン、テレビで目を使い、デスクワークで頭をたくさん使うことから、脳を酷使していることから、脳髄を主る「腎」と神明を主る「心」を傷る傾向があるため、うつ病などの精神疾患が増えています。

つまり、運動しないことにより、身体の中に湿邪という汚れが大量に蓄積し、それらが酸化して精子の質、卵子の質を低下させたり、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病になったりします。

これらの状況が起こっても、回復力の原動である「気血津液」を作り出す「脾」は常にダメージを受け、回復力を十分に発揮できないために、なかなか症状は改善せず、長続きする傾向になっていきます。

うつ病などの精神科疾患に運動やスポーツが良いとされている1つの理由は、筋肉を動かし、身体の中に貯まった汚れを掃除することにより、回復力を高めることができること、さらに心肺機能が向上し、身体の中に巡る血液の質が向上するため、脳に新鮮な血液が循環しやすくなり、脳機能が安定しやすい傾向が出てくるからです。

また脳や生殖を主る「腎」が弱って、子供ができにくかったりするかどうかを判断する場合に、「腎は骨を主る」という視点から、「虫歯」や「歯が弱くなっているかどうか」など歯の状況を確認することが1つのヒントになることがあります。

よく虫歯は「虫歯菌」が原因とか、「砂糖の取りすぎ」とか言われていますが、これを中医学基礎に照らし合わせてみると・・・

たとえば、「虫歯菌」は東洋医学では1つの外因に過ぎず、虫歯菌が歯を傷るかどうかは、本人が持つ「歯の強さ=腎の強さ」に左右されるからです。つまり外因の問題ではなく、内因の問題が虫歯を作る原因なので、いくら殺菌しようが、そんなことは1つも意味がないという論点。

もう1つは「砂糖の取りすぎ」ですが、砂糖が虫歯を作るのは、脾⇒腎の五行における相克関係で説明することができます。甘味の摂りすぎが腎を傷るために骨が弱くなり、虫歯になる。甘味は骨を弱くするという話もこの理論を使えば理解することができます。

「生殖能力」と「歯」という視点では、妊娠して出産された女性は、歯が弱くなる傾向が出てくるといわれ、これは生殖能力と歯は腎でつながっていることを考えると、妊娠しやすいかどうかの1つの指標として虫歯や歯が弱くなっている感覚がないかどうかということは、その診断の1つとして利用することができるはずです。

実際に、ウチの妻は、4人を子供を産んで、非常に歯が弱くなっています。


というように、あっているかどうかは別にして、基礎理論をこのように展開できるとまた面白い世界が見え始めます。

上述の想像は、誰かに聞いたことをヒントに思いついたわけではなく、日常の漢方相談の中で、お話を聞いたり、情報をまとめたりしているときに、基礎理論から「ふと閃く」ような感じで、突然、頭の中に降りてきます。

こういう想像力をかき立てができるのも、漢方の面白いところです。
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