http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20120215ddm041040007000c.html
◇国が制度見直し、参加要件を緩和 人件費高騰、赤字で敬遠
東日本大震災の被災地で建設作業員の人件費が高騰し、復旧・復興の公共工事が入札参加者不足で落札されない「入札不調」が深刻化している問題で、国土交通省は14日、入札制度の大幅な見直しを決めた。
工事価格の引き上げや要件緩和で業者が入札に参加しやすくする方針だが、自治体や業者からは「まだ不十分」との声も。復興バブルが復興を遅らせるというジレンマは容易には改善されそうにない。【樋岡徹也】
国交省によると、公共工事の予定価格は前年度の労務単価(都道府県ごとの建設作業員の標準的日当)を基に計算するが、東北地方は単価が低く、特に福島県の普通作業員は1万700円(今年度)と全国で最も低い。
一方、被災地では建設バブルで人件費や資材費が高騰。
業者は事業費を抑えられている公共工事を受注すると赤字になるため、入札参加を敬遠している。
自治体発注で入札が不調だった工事の割合は福島県51%(11年12月)▽宮城県32%(1月)▽岩手県29%(同)。3県とも10年度は数%にとどまっていた。
対策を求める被災3県の声を受け、国交省は14日、関係省庁や自治体、業界団体との連絡協議会を開き入札制度の改革案を示した。
労務単価を人件費の変動に合わせて見直し、予定価格に反映させやすくする。
また、建設業法は重要な工事では現場ごとに専任の主任技術者を置くとしているが、「技術者不足も入札不調の一因」との指摘があり、発注者が違っても約5キロ以内の同種工事ならば主任技術者が掛け持ちできるようにする。
地元業者に限っていた入札参加要件も緩和、被災地外の業者とJV(共同企業体)を組み入札に参加できる「復興JV制度」も創設する。
だが、自治体や業者からは「主任技術者の専任が必要な工事の請負額を2500万円以上から1億円以上にしてほしい」「遠くから作業員を確保するため交通費や宿泊費も業者負担になっている」など、要望が相次いだ。
宮城県の担当者は「一定の効果はあると思うが、このままでは復旧・復興をスムーズに進めるのは困難」と話した。
◇仙台市人口、105万人突破 県内外沿岸部から9000人超流入
◇空き物件減少/企業は拠点の動き/個人消費も回復
東日本大震災で被災した仙台市の推計人口が増え続け、昨年11月に市制施行後初めて105万人を突破した。
津波被害を受けた県内外の沿岸部から9000人超が流入したのが主な要因で、賃貸住宅の空き部屋が減少。
復興事業を見込む企業の流入も目立ち、繁華街もにぎわいを取り戻している。地元経済界では「仙台はミニバブル」との見方が広がる。
「仙台市と周辺の空き物件が減っている」。宮城県宅地建物取引業協会(仙台市)の担当者は説明する。
協会によると、同市や周辺市町村では10年末までは常時3000軒前後の空き物件があった。しかし昨年3月の震災後は1000軒前後に縮小。
「(みなし仮設住宅になる)民間賃貸住宅に入居した被災者もいて世帯向け物件から埋まる」と担当者は話す。
仙台市市民局によると、同市の推計人口は昨年3月は104万6737人だったが、6月から増え、11月に105万人を突破。
今年1月には105万2476人になった。同局は「津波に襲われた県内沿岸部と福島県から計9099人移ったのが大きい」とみる。
宮城県宅建業協会などの調べでは、12年の同市内の新築マンション着工は少なくとも2000戸となる見通しだ。08年のリーマン・ショック以降は1000戸前後だったが、2倍に急伸する勢いだ。
建設会社などが仙台に拠点を置く動きもあり、不動産業の三鬼商事(東京都)は「建設業と関連業種が被災3県の足場として、仙台のオフィス、宿舎の確保を急いでいる」と分析する。
同市内でのオフィス空室率は昨年2月の20%から昨年12月には15%に改善した。
特に東北一の高層ビルで優れた耐震機能を持たせたという「仙台トラストタワー」(地上37階、地下2階)の入居率は震災前は5割だったが今年1月末には8割超に達した。
経済産業省の調査では、同市内での大型小売店の昨年10~12月の販売額は前年同期比で9・6%増となり、個人消費も回復した。
「バブル」は今後も仙台経済を押し上げるのか。
仙台市の経営コンサルタント、田所照章さん(56)は「国の12年度予算案の復興関連事業費が使われる来年3月まで回復傾向は続くだろうが、その後も続くかは分からない」と話す。【平元英治】
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