西日本XCキャンプ 二日目 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<お仕事> 晴れ 時々 くもり のち 晴れ DASH!

今日も北風予報だが、昨日よりは弱いようだ。

今日は移動せず、神の倉,荒谷山で飛ぶ事にした。


朝のテイクオフ(離陸)場は北東のサイドフォローで、

谷は、しっかりした北風が吹いていたと言うのに、

現在は、サイドながらアゲンストの風が入っている。


何か怪しい?


とりあえず、川地がダミー(生け贄)として出ることにした。

飛び出す前から薄々は気づいていたが、出て直ぐに確信した。

フォロー(追い風)が吹いているのだ。


テイクオフ場は、丁度、山の影になって風が淀んでいるので、

常に正面の風の様に入って来るのだ。

ただ、ここ荒谷山では通常はそのような状態にはならない。

今日は気温減率が良いのでサーマルが豊富に発生し、

通常なら間欠的にしか入らないブローが、安定して入っているようだ。



はっきり言って、飛べなくはない。

ただ、リーサイド・サーマルになれていないパイロットには、

強くてスティッキーなサーマルは、難しい対戦相手と言えよう。

常日頃からそのようなサーマルで飛んでいる人にとっては、

大した事ではないのだが・・・。

(現にリーサイドのエリアでもスクール生が飛んでいる所がある。)


決して危険ではなく、コンディションさえ読めば安全に飛べるのだが・・・。

今日の受講生には少しハードルが高かったか?



一本目は曇ってサーマルが無くなり下りてしまったが、

直ぐに上がってリフライトする事にした。

先ほどより条件は良くなっていたが、

飛び立ったパラが余りにも強烈に勢い良く上がっていくのを見て、

塾生は及び腰になっていた。(見た事がないなら仕方ないか?)

無理に飛んで怖い思いをして、嫌になってしまっては元も子もない。


「 みんなで飛んでエリアの外に出る 」

というXCキャンプの方針を変更し、


「 飛べる人だけが飛んで、他は地上班として追いかける 」 にした。



飛びたい気持ちはあるが、フォローが止まないし、

でも、もしかして南風が入ってくるようになるかも?

でも、XCを追いかけないと何も得る事ができない・・・。

気持ちが萎えているので、皆動きが遅く、決断ができない。

判断力も鈍って、ただ、テイクオフに立ち尽くしている。



川地は、高らかに “ 白木山アウト&リターン ” を宣言して、

「もう行くよ!!」 と、発破をかけた。

はっきり言って、これ以上待つとそれが出来なくなってしまうからだ。


川地以外に飛ぶ人はいないようだ。

いつもとは違う、待つ必要はない。

ギアを一気にトップに入れた。

テイクオフして、直ぐに上げきり、1800mでスタート!!

白木山までは、30分もかからなかった。


更に南下して、電波塔を取ってリターン。

ここからが正念場だ。逆風を突いて帰らなければならない。

他に機体はないので、己と機体を通して感じる風の流れから、

ルートを読まなければならない。

行きに比べて、何十倍もシビアなコース取りが要求される。


実は、川地はこのような困難な状況の方が、気合が入るのだ!

ギアをもう一段上げた。途中、2100m近くまで上がった。


そして、公約通り、エリアに帰ることができた。

勿論、途中で、どのような判断をしているのか?

高度は? 沈下速度は? 対地速度は?

情報を流し続けた。


受講者の多くは地上から見守って、多くの情報を受け取り、

そして、雲の形から判断し、擬似フライトを経験したに違いない。

今日の経験は大きな糧になり、いつか花開くことになるだろう。