上海のパン事情 | 上海健太の務め

上海のパン事情

 以前私が留学していた頃、学食、外食は中華が圧倒的に多かった為、フランス人の友達やイタリア人の友達が皆自分の国の料理を自慢していたものだ。「一度パリに来てみろ、パリのパンを食べれば人生変わるぞ」、「イタリアに来たらエスプレッソとパンを食べろ。これが最高の朝食さ☆」とか何とか。パンはなんか煙草屋とか、雑貨屋なんかにちょこっと置いてある感じで、専門店というのは、フランス系のチェーン店「クロワッサン」位だった気がする。そのクロワッサンですら、ホテルの中にあったりして・・・ お味の方も本国の人からすればなんだかちょっと違う気が・・・という感想だった。

 彼らが今中国に戻ってきたらどんな顔をするだろう?上海のパン屋レベルはあの時とは全く次元が違う。当時あったような湿気っているパンや、これは乾パン?!と言うようなものに出会うことはもう無い。(中国西部の田舎の方に行けばまだ出会うことが出来る。)
 現在、シンガポール系の「面包新語(Bread Talk)」,台湾系の「85℃」をはじめ、日系では山崎パンをはじめ幾つかが上海を中心に展開している。しかし大勢はやや決した感じもする。初めにあげた「面包新語(Bread Talk)」、「85℃」の二系統が上海のパン戦国時代を勝ち残った徳川家康、豊臣秀吉という所か。街中の至る所にあるという感じだ。デリバリーサービスまであるのだから、素晴らしい。
 
ここ数年パンだけではなく、各方面急激にレベルアップした上海には、死角なし!かと思ったのだが、昨日、面包新語(Bread Talk)で実際にあったこと。

 図のような感じでレジに並んでいた私。

上海健太の務め-パン屋さんの図


ナウシカに出てくるオウムのような形のパンを今朝のブランチにしようと思って並んでいた。このパンは切れていないので、切って欲しいと店員Aに頼むと笑顔で「OK!」の返事。
 すると、驚いた事にパンは我々客の頭上を越え、店員Bのところへパスされたのだ。店員Bも勿論ナイスキャッチ。パンの形状からしてまるでラグビーの一場面のようだった。投げた方も、受け取った店員も笑顔。私まで何となく笑顔。色んな方面で急速にレベルアップしている上海だが、ビジネス的切り口で考えれば、まだまだ改善の余地がありそうだ。
 しかし、私はこういう一場面を見て、とてもアジアっぽいなあと思ってしまう。最近あんまりにも優等生の上海ばっかり見てしまっていたので、こう言うのを久々に見るとなんだかホッとする。