このブログはオールオンフォー、All-on-4についてのブログですが、
現在、リスボン物語(母を助けに)編です。治療そのものについてはこちらきむら歯科円山インプラントオフィスのHPをどうぞ。


このリスボンの思い出を楽しい思い出に変えるプロジェクトの思いつきは
私を虜にしました。

病院は旧市街にありその道は、車道も歩道も石畳でした。
長年踏み続けられてつるつるになった10センチ角の大理石のような石畳。
折しもヨーロッパは歴史的な猛暑で、靴底は石畳の熱さに溶け出しそうでした。

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ほんの数日前に、その病院までの道を、バッグに炊きたてのおかゆを入れてとぼとぼと
歩いていた私。この地でお葬式を出すことを考え、めまいを覚えものすごい
不安感に道に立ち止まって泣いたこともありました。

母のがんばりに感謝して送り出した世界一周の船の旅は、始まってすぐから、
苦しみの日々に変わり、このままでは悲しい思い出にしかならないと感じ、
悲しくそして胸がきりきりと痛みました。ごめんなさい、お母さん。

それというのも、母を一人で旅に出した私達子供の至らなさ。
リスボンはおそらく家族にとって、悲しみ、苦しみの街としての記憶
しか残らないと感じました。


しかしながら母はこうして、まだ不安を抱えながらも回復してきています。
家族が母の病気をきっかけにリスボンに集合しています。
この状況を楽しい思い出に変えよう。突然浮かんだ考えに、取り憑かれた
ように、私の頭のコンピュータがシナリオを書き始めました。

まず、リスボンに家族旅行に来たような気になってもらう。
母が病気をしてくれたお陰で姉弟3人が日本全国からこうしてリスボンという
滅多に行かない場所に来れたのです。
「病気をしてくれてありがとうお母さん、お陰でこんな貴重な経験ができた、
こうして家族がそろってリスボンにくるなんて、子供達それぞれが家庭を持った
今できたことは奇跡だ」と言おう、と3人で話し合いました。

そこで、医師に相談し、外食の許可をもらい、近くのレストランに食事に
行くことにしました。また、ホテルで朝食を家族で取るということも許可
を得ました。
病院のベッドでたとえ美味しくても病院食を食べるより、旅行に来た気分で
家族で一緒に食べれたら、病気のことはあまり気にならなくなるかも知れない。

私達の感謝は母の喜びに変わるかもしれない。そんな考えが
私の頭をいっぱいにし、ぶつけようのない怒り、いいようのない不安で一杯
だった私もこの思いつきに小さな幸せを感じたのです。

つづく

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