流石の一冊でありますな
明烏 落語小説傑作集 小松左京
小松左京と言えば 日本沈没/復活の日 等々で知られる日本SF界の偉大な父の様な人であるがこの人の知識は恐ろしい程 多岐に渡り落語もその一つ。
上方落語界の祖 桂米朝との交流も深く落語にも精通している。
そんな小松左京の落語小説集。
ミステリーの中でも落語をモチーフにした作品は多いし面白な物も多数ある。俺も何冊か読んでいるし大好物だ。
この落語小説集はモチーフでなくガチの落語小説なのである。勿論モデルとなる噺があれどそこから落語の世界を壊さずに新たな落語を拵えて小説にしている様な印象。
古典と現代の見事なマッチングと痛快なサゲそして難しい人情噺を見事に消化している。
正に名人芸。巻末には桂米朝との対談もあり嬉しい。
しかもパターンが一つで無いのも素敵だ。
元ネタを知っていればもっと愉しいが知らなくても充分にいける。
この短篇集 欲を言えばもっと分厚ければ良かった(笑)そうすりゃもっと読めてもっと浸かれたもんね。