不安と忙しさで見失っていた
ピュアな喜びと、ただただ幸せな瞬間にアクセス出来た時
その瞳にはみるみる光が宿り、頬が紅潮し
言葉の一つ一つに、力強い想いが込められ、放たれる。
その場に居合わせた私は
もう言葉にならないほどの至福の真っただ中だった。
ああそうだ
私はやっぱりこの瞬間に立ち会えること
そして人がもう一度力強く自分を信頼していくこの姿を見るのが大好きなんだ。
昨年、とてもお世話になった幼稚園との契約を終え、一切の保育研修を手放した。
もう現場を離れて数年経ち、私自身もう保育現場にご縁がないこと
これから先にビジョンに、この保育の仕事はないこと
普段は人生全体を扱っているので、職場研修の範疇を超えた発信をしていること
もうここには自分の役割はないと思っていた。
その旨を園長先生にもお伝えしていたのだけど
「これからも河野先生の研修が必要なんです。来年度もぜひお願いします」とありがたいことに言っていただいていた。
園長先生の想いがつづられた長いメッセージを読みながら
どうしても心が動いて
どこか断り切れない自分がいた。
何度も何度も自分に疑いを持った。
変化をするのが怖いんじゃないの？
必要とされているから、期待に応えたいだけなんじゃないの？
大事なのは、自分がどうしたいかでしょ？
でもどれも何故かしっくりこなくて
頭の中だけでぐるぐるしている気がしていた。
ハートが動かなかった。
そしてとうとう答えを出さなくてはいけない、最後の段階になって
これまでの先生方のアンケートを読み返した。
そうしたら唐突に
そして単純に
「ああ、私、この幼稚園が大好きなんだ」
そう思った。
ああそうだ。そうなんだ。
保育の仕事は先のビジョンにない、とか
私の役割じゃない、とか
そういうことじゃなかった。
私が本心はもっと単純だった。
この幼稚園だからだ。
この幼稚園が大好きだから、やりたい気持ちがまだあるんだ。
先生方のほとんどが、この幼稚園を卒園してきたという、先生方の幼稚園愛が大好きで
そして厳しくも温かく、娘のような先生方とていねいに信頼関係を築いている父性の象徴のような園長先生を尊敬していて
何よりも本当に子どもが大好きで仕方ない気持ちを、いつも新鮮に持ち続けている先生方が本当に素敵で
いつも一緒の空間と時間を過ごさせていただくたびに
私のほうが、ほんわか温かい、幸せな気持ちになっていた。
カテゴリーで自分の仕事を選ぶのは
頭で考えていただけだ。
私のハートは
ただただこの幼稚園が大好き！だからお役に立てることがあれば、関わっていたい！だったのに。
いったい私は、何をこだわっていたんだろう。
そこに気づいたら、もう心は決まった。
「来年度の研修もお引き受けします。よろしくお願いします」
そう返事をして、早急に講座の準備をした。
１～２年目の先生方を対象に・・・ということだったので
伝えたいことはたくさんあったけれど
シンプルに、自分との関係についてお話しすることにした。
自己受容、そして自分との関係づくりが、他者と自分（子ども、保護者）そして多数と自分とのコミュニケーション（クラス運営）に、どのように影響の輪が広がっていくのか
理論と、私の経験談を交えながら、話をした。
その講座の中のワークで先生方に
そもそも幼稚園教諭になったいきさつや
保育中に感じた、幸せ、感動、喜びを感じたエピソードなど、思いつく限り出してもらった。
それが冒頭のところで書いたエピソード。
不安と忙しさで見失っていた
ピュアな喜びと、ただただ幸せな瞬間にアクセス出来た時
その瞳にはみるみる光が宿り、頬が紅潮し
言葉の一つ一つに、力強い想いが込められ、放たれる。
ただその場に居られたことが
もう何にも要らないと思えるほどに、至福だった。
人が自分の持つ本質に還る時って、なんて美しいんだろう。
先生方の輝く瞳を見ながらそう思った。
多分、この講座をして一番受け取っているのは私だ。
自分の創った内容を、先生方の姿を通して私自身がもう一度深く受け取らせてもらっている。
いつも思う。
与えた瞬間に受け取っている。
そして先生方も、受け取った瞬間に、こうして喜びを与えてくれている。
好きと幸せがいっぱい詰まった仕事は
もう豊かと感謝でしかない。
もちろん過去に、別の場所で「綺麗ごとですよね。かえみ先生みたいにうまくいくでしょうか」と、受け取ってもらえなかったこともある。
そんな経験もあるからこそ
こういうご縁は、本当に奇跡だったんだ。
そんなことすら忘れていた。
今回、新年度の体制の先生方向けの研修だったけれど、退職する先生が「どうしても最後にかえみ先生の研修を受けたいんです」と申し出て、受講してくれていた。
退職して、新たな新天地に行くと決意できたのは、私の研修を受けたからだと以前、その先生から聞いていて
嬉しくも、どこか複雑な気持ちもあった。
でも
「今の私がいるのは、かえみ先生と出逢ったからです。本当にありがとうございます！」と伝えてもらった時
わずかとはいえ、本当に要らない罪悪感を持っていたなと思った。
誰かが自分の思うがままに生きるというのに
どうして私が罪を感じる必要なんてあったんだろう。
私自身も
次のステージに行くのが単に怖いんじゃないかとか
必要とされているから、他人の期待に応えたいだけなんじゃないかとか
そんな余計な責め方をしなくてもよかったんだ。
次のステージに行くとか
後退するとか
一体何なんだ。
誰が何を言おうと
私は私の好きを
ただ熱く感じるこの想いを
全うするだけでいい。
やり切った先に、きっと次の扉が開くはずだから。
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