中国農業の引き続きの大きな問題は食品安全。これを巡って、一時期つかわれなくなっていた言葉・プロジェクトが再び注目されるかもしれないという、2010年5月13日付「南方日報」紙の記事。以下は主にその記事の要約です(中国語原文はこちらをhttp://www.infzm.com/content/44848





 野菜かご工程(菜篮子工程)とは、1988年に農業部が制定し国務院が批准したプロジェクトで、あえて日本語に訳しているものを観ると「副食品供給プロジェクト」。つまり野菜などを都市にどのように安定的に供給するかを考えるプロジェクトでした。現在は中国の野菜播種面積および生産量が世界のそれぞれ43%、49%を占める中、問題は野菜不足から、野菜の安全性へと変わりつつあります。





 2001年には野菜の安全検査合格率が52%しかなかったという証言もある中、農業部は「無公害食品」行動計画を打ち出し、無公害食品は食品全体の95%にまで至るようになったというものの、残留農薬問題は後を絶ちません。海南省のササゲ(これらに関してはhttp://ameblo.jp/imajunjinjing/entry-10518104438.html
もご覧下さい)、青島のニラなどで最近でも残留農薬の話題が注目されました。





 つまり、今年3月に国務院が出した新しい野菜かご工程のポイントは、その供給量から供給される野菜の質への、重点が移ってきていると言えるでしょう。また、これらを通しての農家の増収を目指すかというのも、引き続き中国「三農問題」の大きな課題です。今年は異常気象で中国でも野菜が高いとは言っていますが、未だに中国農業生産者が手にする利益は大きくないので。





 新しい野菜かご工程では、食品安全、異常気象や災害時の野菜供給体制の確保、農民の増収、国内需要を満たす前提での国際展開、更には運輸交通、貯蔵・保管などに関しての国家による計画整備、重点地域の確定などが必要と専門家は語ります。また、農民合作組織や流通ルートにおける税収、農業機械設備などに関しての補助金もあり得るとしています。





 日本にとっても他人ごとではない中国における食の安全の問題。22年ぶりに動き出した新しい野菜かご工程は、現在の問題の改善につながっていくのでしょうか?