2013年01月07日(月)

Fri 121214 オペラ・ガルニエでオペラを観る ボックス席に陣取る(パリ速攻滞在記12)

テーマ:ブログ
 12月26日、いよいよオペラ・ガルニエに向かう。どうも最近「パレ・ガルニエ」と記載するガイドブックが増えているようだが、地下鉄駅の名前だってチャンと「Opéra」のままなんだし、パリで「オペラ」と言ったらあくまで旧オペラ座。新オペラ座に遠慮する必要は1つもないと思う。
ガルニエ1
(オペラ・ガルニエ)

 ここで観るオペラそのものには、期待が大きすぎてはいけない。いまや、パリのオペラの主力は完全にバスティーユの新オペラ座に移行していて、ガルニエでの公演はバレエが中心。オペラ公演があっても、小規模なものに限られる。
 しかし諸君、ガルニエの竣工は1875年。5年前には普仏戦争でプロシャに負け、その後ナポレオン3世が死んじゃって、パリ・コミューンその他の大事件が相次いだ。大革命から100年が経過、大混乱のフランスが、センター試験世界史の出題の宝庫になった時代である。
 そんな建物が今もなおバレエやオペラの公演に使用され、東洋から押し掛けるサトイモ閣下なんかが、パックリ大口を開けてシャガール作の天井画に圧倒される。それだけでいいじゃないか。ヒトラーもコッソリここにやってきた。ドイツ占領下のガルニエには、大っきなハーケンクロイツが掲げてあったそうだ。
ガルニエ2
(ガルニエ正面図)

 18時半、今井君は日本から持参したスーツにチャンとネクタイも締めて、いよいよガルニエに向かう。滞在中のジョルジュ・サンクからオペラまで、徒歩でもわずか25分程度の道のりであるが、ここはどうしてもメトロで行きたい。1号線でコンコルド駅へ、長い地下通路をわたって8号線に乗り換え、2駅でオペラの駅に到着する。
 「タクシーで」という贅沢な選択肢もなくはない。ホテルのフロントにタクシーをお願いし、そこいら中のドアボーイに愛嬌を振りまきながらタクシーに乗り込んでもいい。何しろ今日のガルニエは舞台正面のボックス席なのだから、出発にそのぐらいの晴れがましさがあるのも当然だ。 
駅
(メトロ・オペラ駅)

 しかし諸君、パリのガルニエなら「メトロで」のほうがカッコよくはないかね? 今井君は「控えめなほうがカッコいい」と判断。まあ、その辺が田舎出身者の悲しさかもしれない。秋田で18歳まで暮らした今井君は、「目的地に向かって、地下鉄の階段をゆっくり上がっていく」という15秒なり20秒なりの緊張感が、789歳の今になってもまだ大好きである。
 ガルニエのエントランスの豪華さについては、もう議論の余地がない。「世界3大劇場」であるはずのミラノ・スカラ座やブエノスアイレス・コロン座も、さすがにガルニエには遠く及ばない。実際の宮殿ではないのに、Palaisの名がついているのも、全く不思議はない。
エントランス
(豪華エントランス)

 中高年のオジサマ&オバサマは、キチンと「いわゆるドレスアップ」をしてきている。オジサマは最低でもスーツにネクタイ。さすがにタキシードというヒトはほとんど見かけないが、いかにも高級そうなスーツに蝶ネクタイというオジサマが主流。セーター姿も目立ったバスティーユの新オペラ座とは、やっぱり気合いの入り方が違うようである。
 オバサマの衣装となると、日本のダサいサトイモ男爵には何とも判断がつけにくい。ウィーン国立歌劇座で(Mac君は何をトチ狂ったのか「コクリツ過激座」ときたが)、豊かな胸を目一杯むき出しにした赤いドレスの、60歳ぐらいのオバサマを目撃したことがある。周囲のオジサマたちも、マコトに無遠慮にその「豊かな胸」にマジマジと見入っていたものである。
 「ああいうのが『フォーマル』と言うんだろうか」と、あれ以来ボクチンはヨーロッパのオペラ座がコワくなってしまった。だって、あそこまで派手なオバサマたちに取り囲まれたら、とても落ち着いてオペラどころじゃないじゃないか。
ボックス席からの眺め1
(正面ボックス席からの眺め 1)

 本日の今井君の席は、繰り返すようだが「憧れの正面ボックス席」である。6人から9人入れる小部屋がズラリと並んでいて、クマ蔵は「Loges de Face 32」。ほぼ完全に正面のボックスを獲得できた。
 しかもPlace 2なので、小部屋の中でも最前列。観客としては、最高の晴れ舞台である。ボックス席の2列目や3列目ではあまりよく舞台が見えないから、東洋の果てからなのに、驚くべきスンバラシイ席が取れた。インターネットって、ホントにスゴいですね。
小部屋
(小部屋のドア。係のヒトにいちいちカギを開けてもらう)

 状況がよく分からない読者は、1988年の映画「危険な関係(原題Dangerous Liaisons)」を今すぐ見てみたまえ。ラクロの小説を映画化したもので、希代の悪女「メルトゥイユ侯爵夫人」にグレン・クローズ、相手役「ヴァルモン子爵」にジョン・マルコヴィッチ。おお、何とも悪辣な感じのオジサマとオバサマである。
 2人に翻弄される悲劇の女2人が、ミシェル・ファイファーとユマ・サーマン。まだマトリックスの「ネオ」に変身する前のキアヌ・リーブズが、ユマ・サーマンの相手役であった。20世紀終盤の映画として、ボクチンなんかは悪くない1作だと信じる。
 この映画で何度も登場するのが、パリのオペラ座。最終盤、悪女メルトゥイユがついに命運つきて崩れ落ちるのがオペラ座のボックス席である。うにゃにゃ、時代はちょっと異なるが、19世紀から20世紀のパリの紳士淑女が、男女間のありとあらゆる権謀術数を巡らした、その舞台のど真ん中に、ついにサトイモ男爵はやってきたわけだ。
ボックス席からの眺め2
(正面ボックス席からの眺め 2)

 見上げれば、天井画はホントにホントにシャガールの作品である。その下にぶら下がるシャンデリアは、ミュージカルの名作「オペラ座の怪人」冒頭で落下してくるシャンデリアのモデル。それもそのはず「オペラ座の怪人」だって、舞台はこのガルニエなのだ。
シャガール
(シャガールの天井画と「オペラ座の怪人」のシャンデリア)

 開始10分前、客席は一気に満員になった。ボックス席で今井君の後ろにされた中年オジサマ2人連れが何となく気に入らなそうな様子なのも、また何とも心地よい。時おり劇場の下を地下鉄が轟音を立てて走りすぎるが、その程度はご愛嬌でかまわない。
 演目はチェネレントラ。ロッシーニ作、チェネレントラとは、要するにシンデレラであって、我々が知っているシンデレラとは筋書きが若干異なるけれども、それもまた悪くない。イタリア語のオペラにフランス語の字幕がついて、おお、何ともインターナショナルでござるね。
チケット
(12月26日のチケット)

 ところが諸君、幕が開く前に女性のアナウンスが入った。
「今日の主役は、病気のため突如として声が出なくなった。舞台には立つが、歌は歌えない。セリフと歌は、舞台脇で代役が務めることになった。代役は、昨日バスティーユでカルメンをやっていた女優だ」
というのである。落胆の声と、「まあそれもいいか」という喝采とが、ほぼ同時に劇場を包んだ。
 確かに違和感はある。チェネレントラ役の主演女優が舞台中央でクチパクで演技し、強烈なソプラノの歌声は、舞台向かって右側の代役から響いてくる。オペラでクチパク。まるで人形浄瑠璃・文楽の義太夫のように、舞台の袖から主役のセリフと歌。これが3時間にわたって延々と続いたのだ。
ボックス席からの眺め3
(正面ボックス席からの眺め 3)

 しかし違和感と同時に、「メッタにできない珍しい経験じゃないか」という嬉しさもある。ベテランのはずの観客たちも、怒りをあらわにするヒトとか、席を蹴って帰るヒトとか、そういう気短な人間は全くいない。「この珍しいケースを楽しもうじゃないか」「せっかくのクリスマスに腹をたてる必要もないじゃないか」という余裕の雰囲気なのであった。
 サトイモ大将としても、これはこれでたいへん面白い。もともと今夜のガルニエは、「オペラを楽しもう」というより「ガルニエを楽しもう」という目的のほうが大きかった。ガルニエの暗いボックス席に入り込んで、パリのヒトビトと一緒に3時間のオペラを楽しめれば、中身の若干の傷があっても全然かまわなかったのである。

1E(Cd) Duke Ellington: THE ELLINGTON SUITES
2E(Cd) Bill Evans Trio:WALTZ FOR DEBBY
3E(Cd) Anastasia:SOUVENIR DE MOSCOW
6D(Op) Opéra National de Paris:LA CENERENTOLA:Palais Garnier
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