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2016年07月24日(日)

Thu 160630 巡航高度での安定飛行/ヨッちゃんからヨシ子さんへ/富士山が一瞬

テーマ:ブログ
 2005年春に東進に移籍してから、もう11年半が経過した。この夏の河口湖合宿は、だから12年目である。7月21日から25日の「第1期」と、26日から30日まで「第2期」、12年間ずっと両方とも務めてきたから、12年×2回、今年は23回目と24回目の合宿ということになる。

 もちろんその間、教材は何度も改訂されたから、毎回毎回完全におんなじことを繰り返しているワケではないが、まあ大筋は変わらない。初日には生徒たちもスタッフ諸君も異様なほど緊張しているけれども、その緊張感もだんだんホグれていって、2日目の朝からはほぼ水平飛行に入る。

 離陸して30分ほど、高度をグングン上げていったヒコーキの機内に、機長のアナウンスが入る。
「巡航高度に達しました」
「狭い機内でございますが、どうぞごゆっくりお過ごしください」
自信タップリの声でそう言われると、離陸時の緊張がスッと雲散霧消する。あれと同じことである。
富士山
(2日目の昼過ぎ、富士山が一瞬だけ姿を現した)

 4〜5年前までのテキストなら、90分授業のうち60分が文法だった。文法問題を1回につき24問、猛スピードで解説して、予備校の浪人生が1学期に学習するのとほぼ同じ範囲&分量の文法を、一気に確認してしまっていたのである。

 その後で、読解問題を1問。30行程度だから、別に「長文」でも何でもないが、1970年代に駿台の伊藤和夫師が「長文問題」というコトバを定着させて以来、20行ぐらいの文章でも何故か長文と呼ぶようになった。

 しかし伊藤師以前は、読解を「英文解釈」という古色蒼然とした名前で呼んでいたから、「長文」でもたいへんな進歩だったのである。だって諸君、「英文解釈」でざるよ。明治&大正のニオイがプンプンするじゃないか。さすが伊藤和夫師は偉大だったのだ。
水墨画
(2日目朝の河口湖。富士山どころか、麓の山々にも雲がかかった。「水墨画の世界」というヤツである)

 今井君もとりあえず慣例に従って、「長文」という呼称をまだ使用している。しかし読者諸君、21世紀も16年が過ぎた今、我々はそろそろこの「長文」という言い方をヤメた方がいいんじゃないかと考える。

 20行なんてのは、文庫本でちょうど1ページ分だ。文庫本1ページを「長文」と感じるのは、日常的にどれほど文章を読んでいないかの証左である。

 ついこの間も書いたけれども、難関国公立大の「長文問題」は長くても80行。80行は文庫本4ページに過ぎない。早稲田や慶応の難関学部は「超長文問題」を出題していることになっているが、長くても120行程度。120行は文庫本6ページだ。

 文庫本4ページじゃ、走れメロスのメロスはまだ走り出してもいない。6ページじゃ、松尾芭蕉はまだ北千住あたりで「前途三千里の思い胸にふさがりて幻のチマタに離別の涙を」注いでいる頃。「奥羽長途の行脚ただカリソメに思い」たった割に、まだ埼玉県にも入っていない。

 その程度の長さで「長文」「超長文」などと呼ぶのは、普段からホンモノの長文を読み込んでいない証拠だ。もし長文と呼ぶなら、せめて岩波新書1冊分とか、せめて新潮文庫1冊分とか、そのぐらいの長さを想定すべきである。
夕暮れ
(夕暮れの河口湖。温泉町の情緒が漂う)

 ま、いいか。というわけで、4〜5年前までの合宿テキストは、マコトに忙しい授業をしなければならなかった。60分で文法24問、残った30分で「長文」の読解30行。文法は1問2分半、読解は、設問の解説も含めれば1行1分弱で解説する計算である。

 しかも、これに生徒の演習時間が含まれた。テキストは合宿初日に配布されるので「事前の予習なし」「演習形式」が原則。つまり「やれ!!」の号令とともに、一斉に生徒諸君が演習を始めることになっていて、いわゆるテストゼミ形式なのである。解説時間は、実質60分もなかった。

 その忙しすぎる面を考慮して、新しく改訂されたテキストは、講師の側から見ると使いやすいと言うか、気楽と言うか、「文法編」がグッと少なくなっている。入学試験の傾向を見ても、文法問題の割合は小さいので、これはまさに理にかなった改訂なのである。

 しかし諸君、Hレベルでもそのトップにあたる「H1クラス」となると、担当講師として「こりゃ楽すぎるかも♡」と思うことがある。せっかく河口湖まで来たんだから、生徒諸君だってもっともっとギューギュー厳しく絞り上げてほしいだろう。
満点の生徒は起立
(確認テスト満点の生徒は、起立して拍手を受ける)

 そこで良心的な今井君は、「この際、補充問題をギュッと充実させて、思い切りギューギューやってやろう」と決意したのである。だから2日目、「巡航高度に達しました」の安定飛行に入った瞬間から、我がクラスの生徒たちは本格的な読解問題の嵐にさらされることになった。

 使用したのは、早稲田大学文学部・名古屋大学・早稲田大学政経学部、平均して約80行の読解問題6問。合計約500行、ペーパーバックスの洋書で、約20ページ分である。問題を解くことを優先した授業であるが、まあ本格的な読解と言っていい。

 もちろん基本は「確認テストで満点を取り続ける」である。授業で扱った英文を、文字を見ながら「つっかえつっかえやっとのことで音読できる」なんてんじゃ話にならない。テキストを閉じても音読に参加でき、確認テストは当然のように満点。その状態を目指さなきゃいけないのは当たり前だ。

 しかし「H1」と名前がつくようなクラスになると、そのハードルを安々と超える生徒も少なくないのである。「そんなの当たり前」「できなくてどうすんの?」という表情でこっちをマジマジと見つめてきたりする。
50点満点で
(50点満点で、この平均点。クラスの集中力はマコトに高い)

 そこでワタクシは、体育会系の部活に例えるなら「ただ単に走る」というトレーニングに、「両手に2kgずつのダンベルを持って走る」というトレーニングを思いつく。「テキストだけ」でも相当キビしいのに、80行レベルの難関大の読解問題を、補充として&ダンベルとして追加する。

 こうなるとさすがに、さっきまで「余裕のヨッちゃん」だった優秀な生徒諸君も「冗談はヨシ子さん」に変化する。ヨッちゃんからヨシ子さんへ、確かに同一人物なのであるが、ダンベルの負荷に耐えながら走り出したヨシ子さんのほうが、音読にもテキストにもグッと集中力を増してくる。

 こうして2日目の午後ぐらいから、教室内の緊張感は一気に高まっていく。「何だ、ケッコ余裕でいけちゃうじゃん」と一瞬ゆるんだ精神が、ダンベルのせいでギュッと引き締まったワケである。90名が声を合わせて音読する声にも迫力と気迫がこもり、カンタンなことにも真剣に取り組む姿勢が生まれる。

 講師としては「よかった&よかった」である。今年もまた合宿4日前まで公開授業が連続。合宿直前の3日間は授業収録の日々。バスのノロノロ運転もあって、開講式の頃には精神的にも体力的にも準グロッキー状態だったが、こうして今井君は安定した水平飛行を開始した。

 部屋に戻って窓を開けると、雨雲が一瞬切れて富士山が顔をのぞかせた。さっきまで麓まで雲と霧がかかって、水墨画みたいな幽玄の世界が広がっていたのであるが、ま、このへんも「グロッキーから水平飛行へ」の移行を象徴しているように思うのである。

1E(Cd) Kremer:MOZART/VIOLINKONZERTE NOS.2&3
2E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE①
3E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE②
4E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
5E(Cd) Solti:BEETHOVEN/SYMPHONY No.9
total m158 y1090 d18795
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