めぐ未は会議用の資料をコピーしているとどうやっても勇起のことを思いだしてしまう。勇起の言葉を一言一言を思い出してしまう。彼に帰りたいのかもしれない。我に返った時コピーはとっくに終わっていた。刷り上った用紙をホチキスで止めていたとき、ふと右手の薬指にはめられているリングに目が行った。
柏田の愛娘の優しい微笑みがフラッシュバックしていた。めぐ未は指輪をじーっとみつめている。付き合いだした2年前に買ってもらったプラチナ。様々な思い出が甦る。
何も知らない小娘が柏田に憧れている。これが運命だって夢中になっていた柏田から電話がかかってきたあの日、、はちきれるように嬉しかった。右手の薬指のプラチナをめぐ未は思い思いに外した。プレートの<柏田>と記された彼の席にその指輪をそっと置いた。めぐ未は大きなため息をつくと何かを決心したように軽やかな足取りで会社を出た。
会社の門を出た時
「めぐ未ちゃん!」振り返ると勇起が立っていた。
「押本君!どうしたの?」驚くめぐ未。
「一緒に暮らそう・・!」
「えっ!?」めぐ未は呆然と立ち尽くした。胸の奥から嬉しさがこみ上げ思わず勇起に抱きついた。
つづく・・