お母さんなんて、嫌い。

 
どんくさいし。
 
おっちょこちょいだし。
 
気が利かないし。
 
「私は考えがない人なんだ」とか、自己否定強いし。
 
ばあちゃんの前では言えないのに、私にばあちゃんの愚痴言ってくるし。
 
料理も上手じゃなくて、ばあちゃんが陰で味付け直してるの知ってるよ。
 
 
 
お母さんなんて、嫌い。
 
背も低いし。
 
足も太いし。
 
全然オシャレじゃないし。
 
美人じゃないし。
 
 
 
お母さんなんて、嫌い。
 
いっつもパタパタしていて、忙しそうだし。
 
私のこと、構ってくれないし。
 
私のこと、怒ってもくれないし。
 
私のことなんて、目に入ってないんでしょ?
 
お父さんやばあちゃんは、怒ってくれるよ?
 
私のことなんて、気にかけてないから、怒ってもくれないんでしょ?
 
 
 
 
 
お母さん、もっと構ってよ。
 
お母さん、もっと怒ってよ。
 
お母さん、私、寂しいよ。
 
お母さん、もっと、私を見てよ。
 
お母さん、もっと一緒にいてよ。
 
 
 
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前々回の記事を書いて、お父さんに対する私の気持ちをいっぱい感じたら、私の中で印象の薄かった、お母さんへの想いが、やっと顔を出した。
 
それは、自分でも信じられないけど、お母さんなんて、嫌い
 
ビックリした。
これまで、お母さんを嫌いなんて思ったことなかったから。
“お母さんを嫌いという選択肢がなかった”と言った方が、正確かもしれない。
 
だから、「お母さんなんて、嫌い」って言葉が私の中に浮かんできた時に、
イヤイヤイヤ、そんな訳ないでしょ!?
って、思ったよね。
 
 
 
でも、浮かんできた言葉をじっと唱えてみた。
お母さんに構ってもらえなくて、寂しくて、悲しくて、孤独で…
でも、仕事もしていて、家事も1人でしていて、私のすぐ下に弟もいて、いっつも忙しそうなお母さんに、「構ってよー、一緒にいてよー」って言ったら、お母さんを益々忙しくさせてしまいそうで、言えなかった。
それに、いつも怒っているお父さんや口うるさいばあちゃんもいるのに、私も「寂しいよー、悲しいよー」って言ったら、お母さんの負担になりそうで、言えなかった。
お母さんに伝えたい気持ちがあるのに、言えなくて苦しかった。
 
だから、これ以上苦しくなりたくなかったから、お母さんを嫌いになることで、私のお母さんにしてもらいたい色々な気持ちを消そうとしていたのかもしれない
 
でも、お母さんを嫌いになりたくない気持ちもあったから、お母さんを見ないようにすることで、お母さんを嫌いにならないようにしていたのかもしれない
だから、私の中での、お母さんの記憶が薄いのかもしれない。
 
 
そんな風に思えてきた。
…なんだか、涙が出てきて、止まらないよー
 
 
 
 
 
きっと、涙が出てくるってことは、これが私の本心だからだな。
うん、きっとそうだ。
やっと気づけたなぁ…
気づけて良かったなぁ…
 
お父さんに対してもそうだったけど、
私、忙しそうで、大変そうなお母さんを、幸せにしたかったんだなぁ。
お母さんの、役に立ちたかったんだなぁ。
だから、お母さんを見ないようにして、お母さんを嫌いなフリをして、伝えたい気持ちを我慢していたんだなぁ。
私の気持ちを伝えないことで、お母さんを幸せにしようとしていたんだなぁ。
私の気持ちを隠すことで、お母さんの役に立とうとしていたんだなぁ。
 
私、お母さんのこと、大好きだったんだなぁ。
 
 
ここにくるまで、苦しかったねぇ、ほんと、苦しかった。
今まで、苦しい想いをしながら、よく頑張ってきたね、私。
 
 
 
 
 
…でも、まてよ?
 
仕事もしてたけど、
家事も1人でしてたけど、
すぐ下に弟もいたけど、
いっつも忙しそうだったけど、
いつも怒っているお父さんもいたけど、
口うるさいばあちゃんもいたけど、
 
そんなお母さんは、
不幸だったのかな?
かわいそうだったのかな?
 
 
 
 
 
そうじゃなかったかもしれない。
幸せだったかもしれない。
かわいそうじゃなかったかもしれない。
 
 
仕事もしていて、家事もしていて、すぐ下に弟もいて、忙しそうだったけど、
それがお母さんの幸せだったかもしれない。
 
いつも怒っているお父さんもいたけど、口うるさいばあちゃんもいたけど、
私が「あんなお父さんで大変だね」って言うと、「でも、お母さんは、お父さんに文句言えるよ」って言ってた。
お母さんも、私の前ではお父さんやばあちゃんの愚痴を言ってた。
言われっぱなしじゃなかった。
それはそれで、お母さんは幸せだったのかもしれない。
 
「私は考えがない人なんだ」とか、よく言ってるけど、そんな風にして周りに流されていた方が、お母さんは幸せなのかもしれない。
 
うん、きっとそうだ。
きっと、お母さんは、幸せだったんだろう
…うん、きっとそうだ。
 
 
なんだか、まだ、「お母さんなんて、嫌い」って言ったら、お母さんが傷つきそうで、傷つけたくなくて言えないけれど、
まだ、おかあさんかわいそうが残っているけれど、
 
私の中にある、お母さんへの気持ちに気づけた。
私の中にある、お母さんへ大好きの気持ちに気づけた。
 
これまで、ずっと印象が薄かったお母さんの記憶、
私の中にあったなぁ。
良かったなぁ…
嬉しいなぁ…
 
 
 
 
おわりつながるうさぎ