2 墓が汚れている時は誰かが病気をする。
ウヤフジがさせるのです。
家族の誰かの頭痛がなかなか治らない時はお墓へ行き、
墓を掘り返して、土葬された先祖代々のウヤフジの頭蓋骨や
骨に絡まった木の細い根っこや、土をふき取りきれいにする。
この頭蓋骨に絡まった根っこや、ごみがウヤフジを苦しめ、
ウヤフジは家内の誰かに頭痛をさせたり病気をさせるという。
お婆さん達がウヤフジの頭蓋骨や骨を赤子を抱くように大事に
手に載せて、きれいに拭き取るのを今でもはっきり覚えている。
オメトお婆さんの影響で、私はずーっとウヤフジが自分を
見守っていると信じている。だから、困った時はいつも
「タックィティ、タボーリ(助けてください)」と。
死んだウヤフジの顔を思い浮かべながら、ウヤフジに祈る。
私が夢を見ない夜はほとんどない。
ほとんど毎晩のように夢をみる、それも死んだ人達の夢である。
でも、大酒を飲んで酔っ払って寝た夜は夢を見ない。
あの世の人はよっぱらいは嫌いのようである。
私の夢の中に多くのウヤフジたちが揃ってご馳走を
食べる夢を1週間以上続けてみると、たいてい私の身内や
知り合いの誰かが死んでしまう。
「そんなことはない」と言っていた嫁はんも、
この頃は当りが多いから、気味悪がっているようである。
どうもウヤフジは私に身内や知り合いの死を知らせたい
ようである。生まれ故郷喜界島の美代ねえに言わせると
私は神憑りの人間だそうである。
続く