サンスクリット語の盤若心経
『般若心経』は英語でハート・スートラと呼ばれますが、こちらの動画はオリジナルのサンスクリット語の『般若心経』
母音の響きや節回しが、とても心地よい✨
動画 02:01 秒より、『ギャーテー ギャーテー』で始まる皆さん周知の『曲のサビ・陀羅尼』の句も始まります。
しかし、私達が日本の寺でよく耳にするダラニとは全く異なる音に皆様も、さぞ驚かされることでしょう。
6世紀、三蔵法師の名で広く知られる・玄奘三蔵は、南インドより当時の中国に持ち帰ったサンスクリット語の般若心経に漢字を当て嵌め翻訳し、発音や節回しを完全に変えてしまいます。
玄奘は般若心経をサンスクリットから漢訳する際、『音写』したとされていますが、(発音されている音をそのままに漢字に嵌め込んだとされています)二つの言語には異る発声も多々あるため、当然ながらそれは不可能な事で、結果、似てはいますが違う音として発音されています。
それらを踏まえ考察すると、玄奘の訳はどちらかというと…
『正しい発音』を重視。
というよりは漢字の持つ特性上、 漢字の字面を観ただけで、なんとなく経の持つ意味が推測できるという
『意味の理解し易い良訳』と言えるでしょう。
その後の8世紀、遣唐使として唐を訪れた日本の仏密の祖・弘法大師空海により、その中国化された般若心経は日本へと持ち込まれました。
したがって、日本の般若心経の発音や節回しは、この動画のようにオリジナルのサンスクリット語の般若心経とは、似ても似つかぬ別の物となっているのです。
また、空海は般若心経の注訳書として『般若心経秘鍵』を著しており、その中で般若心経とは、『般若心経の大心真言(陀羅尼)による内証三昧を説いた経典』である。と述べています。
即ち、【陀羅尼(呪文)の部位がお経のメインであり、その言葉は音写された正しい発音で唱えられてこそ功徳(三昧、悟り)は得られる】というという見解です。
また、般若心経とは【陀羅尼を用いた音瞑想としてのツール】ということになるでしょう。
そして、その思想は現代に於いても空海の開いた真言宗の中で『教義』として厳守され続けてきています。
もし、空海がオリジナル(正しい発音)のサンスクリットの般若心経を聴く事が有ったとしたら、どの様に教義をアップデートし直しただろう?
もしくは、教義に沿ってサンスクリットで陀羅尼を唱えたかな? と想像してみるのも面白いものです✨
とはいえ… 音が違えば、お経の功徳は無いのでしょうか?
私はこう考えます。
伝来より千年の時を経て、ここ日本に於いて般若心経がこの様に世に広く親しまれ普及している所を観ると、『功徳は有る』と言うこともできるのでは無いかと感じるのです🙂
そして、日本の般若心経もまた、心地の良い独自の響きを持つものですよね✨
という事で…
後期仏密/タントリック・ブディズムを母体とし、8世紀に北インドで発祥した『ハタヨガ』の創始者・ナータ派のマッエンドラや、その後のゴラクシャらの『Hata Yogi』達も、この動画のようにサンスクリット語で般若心経を唱えていたか… と思いを馳せれば我が胸も熱くなります🙏✨
Nada Brahma (音は神なり)
Hari om