もう舞台終わったから転載よいだろうか?
劇団文化座公演「あかきくちびる」に出演していた 小林悠記子さん に向けた パンフレット文章。暖かい良い文章なので、転載させていただきます。(代筆 瀬田)

「小林悠記子という可能性」

 見た目以上に自分を抱えている。東北出身かと思っていたが東京だという。期待されることに浮かれないので斜に構えているのかと思うとまっすぐ考えている。時々、どこにいるのかわからない。そういう時は何かを見つめている。舞台ではいつの間にか観客の目を持っていく。色々抱えてはいるのだろうが、みんなまとめて役への集中に持っていく才能はある。集中すると口を利かなくなる。助手の時は演出家に厳しい。酒はまるで飲めない。そのくせ飲み屋ではよく喋る。その時は声が高い。妻楊枝で突くとくるっと剥ける羊羹があるが小林のほっぺも突くと剥ける、と、Aさんが言っていた。思い詰めた時にいい顔をする。ペコちゃんに似ている。女優である。

原田一樹(演出家)