24年前のSM氏の講演CDを聞いた。
もうすでにPC向けソフトの流通の覇者になり、
出版でも、PC分野では覇者になったときのものだ。
起業して営業を開始するまで1年半かかったという。
GFがかつて会社ごっこに参画し闇雲にあがいたあげく軌道にのったのが1年半。
同じ1年半という数字に奇妙な何かを感じる。
「大丈夫ですか?」の問いに「大丈夫じゃないですよ。」
「実績はあるんですか?」の問いに「実績がないからやるんですよ。」
この問答、ベンチャー人ならではわかる共通項。SM氏の声で聞けて嬉しい。
ソフトバンク以前の日本のPC業界は、
流通会社はソフト仕入れの営業をし、
ソフト開発会社は流通への営業をし、
いわゆる問屋がなかったみたいだ。
まさにSBはエコシスムの提案をしている。
両サイドの最大手から独占契約をとりつけているところが実にいい。
ネット広告の仕入れといえば、レップの存在。
特定の広告を独占していない時点で、存在意義があやしまれるが、
それよりも何よりも、メディアとコンテンツは違うところが味噌だ。
One Takes ALLの広告メディア業界だと、上位のサイトとだけやってればよく、
当然、いたる代理店が直接取引してしまう。
だが、コンテンツ(ソフト)となると、どこで化けるかわからないから、
問屋みたいなニュートラルな存在は、巨大であればあるほど必要となる。
SM氏は、ソフト流通では、ランチェスターの強者の論理を使った。
何もない世界だから、小さな魚はほっておいて、強い者を抑えればいい。
エコシステムは強者の論理で構築すべきだと学べる。
それに対し、出版では、弱者の論理を使った。NECパソコンユーザ限定といったニッチ戦略だ。
市場のない世界と、すでに乱立する世界で、覇権を握ってしまった。天才だと思った。
「一位じゃないと意味がないんです。どんな小さな分野でも日本一をとる。」と言っていた。
結果、負け知らずのSM氏でも、
あたらしい事をやるたびに、社員から猛反対されたそうだ。
「だったらボクひとりではじめる」と啖呵をきっている。
そんなとき、社内では「殿御乱心」と厄介扱いされる。
そうだ。
「殿」とか、「大将」とか、「閣下」とか、「将軍」とか「天皇」とか、
そんな言葉で社員に影でささやかれている経営者がとれだけいるだろうか。
「殿は長らく不在にしております。」
サマー氏が言っている退場処分の企業はおそらくこんな企業なんだろう。