特定の楽譜を盲信しないように(2)
昔は、スタンダード曲をA5サイズくらいの五線譜に書き込んで、持ち歩いていました。
私もごくごく短期間でしたが、そういう時期もありました。
今でも、CDを聴いて採譜した楽譜を使うべし、という主張をされる方もいます。
確かに、iPadを開いて簡単に調べる安直な現状に比べると、
1曲に労力を費やすことによって、血肉となるという意味では優れていると思います。
しかし、何らかの演奏を採譜したもの、およびそれを書き写した楽譜は
ある特定の特殊なバージョンである可能性も充分あり、
セッション的に演奏する際に、齟齬をきたす場合があります。
(…と申しますか、そのことに全く気づかないまま演奏している場合がある、と言い換えた方がよいかもしれませんが。)
一方、CDなどの実際の演奏を検証することなく、
楽譜だけをたよりに演奏するのも、好ましいことではありません。
「Real Book」のシリーズは楽譜のページ下部に、代表的な作品が例示されていますが、
これはその作品を元に楽譜を作成した、という意味ではないことを確認頂ければ、と思います。
「New Real Book」のシリーズで楽譜に「As played by ~」と書いてある場合は、
そのバージョンが下敷きになっているものです。
では、具体的には、
何かの曲を演奏しようと思った際には、
楽譜を複数調べて、
作品もいくつも聴いて検証する、
という作業が必要であると思います。
今は、YouTubeなどがあるので、調べやすくなっています。
ひとつの特定の楽譜を盲信ぜず、
楽譜も音資料もいろいろあたることが大切です。
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