古典の救命法は、凄かった。 | 飯塚病院 漢方診療科のブログ

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漢方診療科では、毎朝漢方の古典を読む抄読会をしています

しかし、8月は抄読会はお休みです

なので、自習自習・・・と

漢方2大古典の一つである「金圚要略」(きんきようりゃく)を読んでいたら、

同じく医局にいたI先生と、内容について大盛り上がりでした

一体なにかというと・・・


終わりのほうに「雑療法 第二十三」という章があるのですが、

その中には「卒死」(そつし)を救う方というのが書いてあります。

「卒死」というのは、急に倒れて仮死状態になったもので、

それを救う方として挙げられていたものが、ものすごいのです

一部をご紹介します。

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卒死を救うには、

・らっきょうの搗き汁を、鼻の中に入れる。

・オスの鶏のとさかを割いて血を取り、それを鼻の中に吹き入れる。


卒死で目を閉じている者には、

・患者に馬乗りになって、ニラの汁を耳の中に注ぎ、さいかち(マメ科の植物)の粉末を鼻中に注ぐ。


鼻と耳が、大変なことになってます。



また、急に死んで手足がダラッとして尿便失禁している人には、

・馬糞を水で煮たもので、身体を洗う。

・ゆるい牛糞を、温かい酒と一緒に、口の中に入れてやる。

そのあとさらに

・心下1寸と臍上3寸と臍下4寸それぞれ100回くらい灸をする


もし、生き返ったら、目覚めの気分はどんなでしょうか・・・。



また、卒死に効く還魂湯(かんこんとう)という処方があり、

これは、有名な麻黄湯(まおうとう)から桂枝(けいし)を抜いたものなのですが、

意識不明の人に飲ませなきゃいけないわけですから、

口も開けてくれないし、大変なのです。

それはもう必死でどうにか飲ませようとするわけです。


どのくらい必死なのかというと、

病人の歯を折って、

髪を左右に分けてつかんで、肩を足で踏んで、

髪を引っ張って飲み込ませなさい。

ということが書いてあります。



また、熱中症で死んだ人に対しては、

草で作った帯をへその周りに巡らせて、

その中に2~3人で小便をして腹を温める
と助けることができる。

もし、お湯があればお湯を使いなさいとのことです。


死人のへそに2~3人で小便をかける光景って凄いですね


溺死を救う方というのもあって、

二石あまりのかまどの灰をとって、溺死者の顔だけ出して、

頭から足までをその灰の中に埋めると、

水が七つの穴から出て生き返る

とあります。

七つの穴とは、口・鼻(2つ)・耳(2つ・陰部・肛門のことです。

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救急医学の発達した現代では、

もちろんこのような方法は用いませんが、
(責任はとれませんので決して試さないでくださいね)

昔の人は本当にやっていたのだと思います


試せないので、効果の程がわからないのが残念です。

もし、今後、どういうわけか無人島に漂着したりして、

誰かが死にかけて、助けの船も来なくて、

らっきょうやら鶏の血やらニラやら牛馬糞やらが手に入ったら、

最後の手段でやってみようかな、と思います