酒税法に拠る清酒の定義、表示方法 | Takeblog ~たけぶろ~

酒税法に拠る清酒の定義、表示方法

・清酒の表示方法

清酒の表示は酒税法や酒類業組合法などに基づいた用語を基本に、

原料や製造に関わる事や、日本酒業界だけで使われる専門用語などが

複雑に入り混じって表示されている。


これがそのままラベルなどに記載されるので、消費者の混乱を招く弊害に

なっている現状だが、我々にとっては提供者として把握しなければならない

基礎知識である事も確か。


ここでは、それぞれの表示をカテゴリーごとに分類し、ラベルに何が書かれて

いるかに焦点をおいて簡素ながら表記してみた


・酒税法に拠る清酒の定義

酒税法上に於いて 日本酒は“清酒”と呼称する(酒税法上による酒類の17 品目の1つ)
清酒の定義は、下記のとおりに規定されている。

酒税法(酒税法第3条第7号)

・米、米こうじ、水を原料として発酵させてこしたもの(アルコール度が22度未満のもの)

・米、米こうじ、水及び、清酒粕 その他政令で定める物品を原料として発酵させて

 漉したもの(アルコール分が22度未満のもの)


このように、清酒は使用できる原料が決められている事、その中に「必ず米を使うこと」

「必ずこすこと」という工程が入っているのが必須条件だ。
この“漉す”という定義は もろみを搾る段階で、液体部分と固体部分(酒粕)を

分けるときに “漉す”という規定になる。


・酒類業組合法による特定名称酒
酒税の保全 及び酒類業組合等に関する法律(略称酒類業組合法)第86条の6第1項の

規定に基づき、特定名称の清酒の表示が定められている(通称、特定名称酒)。


“特定名称”とは、吟醸酒、純米酒、本醸造酒などを指し、それぞれ所定の要件に

該当するものに、その名称を表示することが出来る。

尚 特定名称は、原料、製造法や精米歩合などによって8種類に分類される。

特定名称 使用原料 精米歩合 麹米使用割合 香味等
吟醸酒 米、米こうじ、醸造アルコール 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
大吟醸酒 米、米こうじ、醸造アルコール 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
純米酒 米、米こうじ 15%以上 香味、色沢が良好
純米吟醸酒 米、米こうじ 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
純米大吟醸酒 米、米こうじ 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
特別純米酒 米、米こうじ 60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) 15%以上 香味、色沢が特に良好
本醸造酒 米、米こうじ、醸造アルコール 70%以下 15%以上 香味、色沢が良好
特別本醸造酒 米、米こうじ、醸造アルコール 60%以下又は特別な醸造方法(要説明表示) 15%以上 香味、色沢が特に良好

※精米歩合
精米歩合とは、白米のその玄米に対する重量の割合を指す。「精米歩合60%」と

謳う時は、玄米の表層部を40%削り取ることを言う。特に、特定名称の清酒に

使用する白米は、農産物検査によって3等以上に格付けされた玄米又は、

これに相当する玄米を精米したものに限られている。

※醸造アルコール
特定名称には、使用出来る醸造アルコール量の範囲は白米総重量全体の

10%以下と規定されている。


※普通酒
特定名称の規定から外れたものを指す総称になる。又 本醸造酒系で

精米歩合が71%以上のもの、全てに於いて麹に使用割合が15%以下の

ものも普通酒と定義される。現在の日本酒全体の約7割近くを占めており、

特定名称酒の割合は全体の約3割。


・さまざまな記載事例
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(略称 酒類業組合法)にて、

ラベルに記載する表示事項が決められている。


1)必要記載事項
①原料名
使用した原材料を使用量の多い順に記載する。尚、特定名称を表示する清酒に

ついては、原材料名の表示の近接する場所に精米歩合を併せて表示する。
②製造時期(次の何れかの方法で記載する)
製造年月平成20年1月/製造年月20.01/製造年月2008.01/製造年月08.01
因みに 容器の容量が300ml 以下の場合にのみ「年月」の文字を省略しても

良い事になっている。
③保存又は飲用上の注意事項
生酒のように製成後一切加熱処理をしないで出荷する清酒には、保存もしくは

飲用上の注意事項を記載する。
④原産国名(輸入品の場合に記載)
⑤外国産清酒を使用したものの表示
国内に於いて国内産清酒と外国産清酒の両方を使用して製造した清酒に

ついては、その外国産清酒の原産国名及び使用割合を記載する。尚、

使用割合については、10%の幅を持って記載しても良い事になっている。

以上の他、次事項も必ず表示するよう清酒製造者に表示義務が課されている
・製造者の氏名又は名称
・製造上の所在地(記号で表示しても良い事になっている)
・容器の容量
・清酒(「日本酒」と表示しても良い事になっている)
・アルコール分
・発泡性を有するものはその旨


2)任意記載事項
次に掲げる事項は、それぞれの要件に該当する場合に表示することが出来る

原料米の品種名 表示しようとする原料米の使用割合が50%を超えている場合に、使用割合と併せて、例えば、山田錦100%と表示出来る
清酒の産地名 その清酒の全てがその産地で醸造されたものである場合に表示出来る。従って、産地が異なるものをブレンドした清酒には産地名を表示出来ない
貯蔵年数 1年以上貯蔵した清酒に 1年未満の端数を切捨てた年数を表示出来る
原酒 製成後、水を加えてアルコール分などを調整しない清酒に対して表示出来る。尚、仕込時に若干異なるアルコール分を調整する為 アルコール分1%未満の範囲内で加水調整する事は、差し支えないことになっている
生酒 製成後、一切加熱処理をしない清酒に表示出来る
生貯蔵 製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理した清酒に表示出来る
生一本 単一の製造場だけで製造した純米酒に対して表示出来る
樽酒 木製の樽で貯蔵し、木香のついた清酒に表示出来る。尚、販売する時点で木製の容器に収容されているかは問わない
「極上」「優良」「高級」等品質が優れている印象を与える用語 自社に同一種別又は銘柄の清酒が複数ある場合に、品質が優れているものに表示出来る。(使用原料等から客観的に説明できる場合に限る)
受賞の記述 国、地方公共団体等公的機関から受賞した場合 その清酒に表示出来る

上記以外の事項については、事実に基づき別途説明表示する場合に限り表示しても差し支えない

3)表示禁止事項
次に掲げる事項は、これを清酒の容器または包装に表示してはいけない。
①清酒の製法、品質等が業界に於いて「最高」「第一」「代表」等最上級を意味する用語
②官公庁御用達又はこれに類似する用語
③特定名称酒以外の清酒について特定名称に類似する用語

ただし、特定名称に類似する用語の表示の近接する場所に、原則として8P以上の
大きさの活字で、特定名称の清酒に該当しないことが明確に分かる説明表示が
されている場合には、表示しても差し支えは無い。
たけぶろ-表示方法

※「ワンカップ」表記についての注意
カップに入った酒を総じて「ワンカップ」と表現している場合が見受けられるが
「ワンカップ」の名称は大関株式会社(兵庫県)の登録商標(1972.10.21登録)。
他社メーカのものは「カップ酒」等と表現されているので、表記にはご注意を。