晩秋の海幸 本唐墨5 | 侘寂伝文(わさびやブログ)

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樂菜 わさびや-唐墨251205  

写真は干し始めて5日のもの 少しずつですが色に深みが出 徐々に固くなってきました 今回は“本唐墨”の製造過程を何回かに分け掲載してきましたが 多少分り辛いところもあったかと思います 時間があれば後日 ダイジェスト形式にて簡素まとめをUPしたいと思います 

 

ここから後は仕上がるまで天日干し-拭き-冷蔵庫の繰り返しです 大凡3週間-4週間かかります 

 

今まで卵巣に付いていた鯔のつなぎ身(へそ)も取り外し 型を整えて仕上げに向います この“へその身”通常は破棄するのですが 折角なので試食してみました これがまた美味しい!!酒が欲しくなります 

 
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へその身は卵巣から丁寧に取り外し 切込みを入れ鱗付きで1週間ほど天日干し 
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両面をさっと炙り 頂きます 塩加減は若干しっかり目で喩えて言えば“塩鮭”ですが 鯔の脂がしっかりのって また歯応えも美味 大根卸しが合うかも これは常連様に“あて”で提供したいと思います 

 
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昨年仕込んだ本唐墨と からすみをこういう形で提供するのもお洒落ですね 

  

近年 この本唐墨をいちから仕込んでいる料理屋さんを見なくなったせいか “からすみ”を知らない/みた事が無い人が増え「これ何?」と聞かれた後 鯔の卵巣である事を伝えると「鯔ってあの捨てる魚?」と驚かれるのに 此方が正直驚いてしまいます 

 

産地査証疑惑で変に賑やかな近況ですが 料理側の不手際は看過出来ないながらも 昔の様な“ホンモノを知っている客”が少なくなった事 安値で美味しいものを求めようとする安易な風潮の蔓延 インターネットで簡単に情報を入手できる事で“知ったかぶりグルメ”もどきが増えた事 

  

料理に携わる立場から見て世知辛い事多き近況ですが こういう昔ながらの仕入れ/調理を頑なに継続し 後世に受け継いで行く事の大切さを そこから学べた様に再確認出来ました 諺通り“反面教師”さながらです 

 

私自身現在“おせち”は部分的にしか作成しませんが “おせち”に携わる料理人達には陰日向無く辛く地味ではありますが 日本料理本来の持つ素晴らしさをしっかり認識し 自らの仕事に自信を持って後輩へ伝えて欲しいと思う今日この頃です