千葉県いすみ市で、築100年の古民家の沈下修正+家起こし工事をご依頼いただきました。
万木城跡の近くで、ゆるゆるとした時間の流れる良い場所です。
GL(地盤の表面)と土台が近いため、土台の下から腐ってきたこともあり、沈下してしまったようです。
これは、今の日本中の古民家の「今後の課題」だと思います。
自分の子ども頃(50年前)とは確実に温暖化なのか?集中豪雨とか多くなりました。
そこで、礎石(柱や土台が乗っている自然石)の天端が低く設置されていた伝統構法の建物の多くが根腐りを起こして、沈下、白蟻被害が拡がっています。
そこで、今回の工事では昨年の九十九里での工事と同じく、土台を取り外し「柱勝ち」に換えて、新しい拡めの独立基礎を造り直して据えつけ直す。というご提案をさせていただきました。
ただ、今回は近い将来、改修するキッチン廻りは、そのままで~というご希望がありますので。
それと、立派な造りの仏壇も解体しないよう。もありますので。
なるべく敷居下で細工を完結させたいな。と頑張っています。
根切りに入っていただく大工さんに、のこぎりを入れ辛いですから、申し訳ないですが・・こうすることで、「上腰工法」で柱を掴んだ場合に残る「金具で締め付けた跡」が完成後、見えない床下になりますから。
この敷居下で掴むことが出来た場合は、こちらを優先したいです。
レベル計測は、たいへん重要です。
沈下修正に於ける「設計図」のようなものですから。
上の画像を見ていただくと判りますが、経年で敷居の高さが揃っていないところが多々ありました。
社寺を計測すると同じで床を剥がしていただいてますので、建てられた時の切り口を探してテープを貼ってゆきます。
そして・・上の画像の左奥になるのですが・・増築部分が現状、沈下していないのはリフォーム時に、その部分だけ床張りを水平にして、くっつけているからです。
ですから、今回、本体部分を持ち揚げると整合性が採れなくなります。
さらに、該当部分周辺は、「貫」がかなり低い位置に入っていて、それも三方刺しゆえ、「断面欠損率」が高いです。
ここは弱いので、掴みたくないです。
なので、ここの部分は、どうせ床を撤去しないといけないのですから、壁を抜いて敷居より上で掴むようにします。
そして!部分的に礎石の上に、コンクリートの平板が挟まっています。
この上に新しい独立基礎を巻いてしまえば楽ですが・・
それでは我々をご招聘いただいた意味がありません。
きれいに取り省いて、地中に埋まっているオリジナルの礎石に増し打ちします。
今回はコンクリート接着剤は使う予定は無かったですが、それも含めてどうすればより良い施工になるか?考えます。
ps
家起こしについても、3パターン考えています。
自分たちは芸術家ではありませんので、こうした方が良いけれど、費用面を考えると、これも選択肢としてありますよ。
と、いつもフレキシブルに答えられる職人でありたいです。