今日、私は息子のノートを買いに行き。


  地元のヨーカドーは入り口でイベントが開催されていることがよくあるのですが。


  今日も、女性歌手と男性バンドが3時から出演、と書かれた看板があり、舞台が用意されており。


  その歌手もバンドも、有名なのか私には分からず。


  私の二胡の先生も、こういう風に有名なのか、ドサ回りなのか、よく分からない扱いでも基本、すべての依頼を受けているのですが。


  どういう扱いをされるか、何人の客が集まるか、分からない。それってイヤじゃないのか。


  そういう舞台に上がってでも、自分の歌を演奏をたくさんの人に届けたい。


  そういう人だけがプロになれるのかも。


  どんな舞台でも舞台は舞台ですから、と思える人のみがプロ。


  で。


  私も、「せっかく歌手を名乗る人が舞台に上がるのだから、聴いていこうか」と思って、3時になりまして。


  舞台の前に用意された椅子は30脚ほど。


  その半分が埋まり。


  私も一番後ろの端に座り。


  で。


  山梨出身で、ナントカと名乗る歌手が、「この名は山梨の方言でどういう意味で・・・」と簡単な自己紹介をした後、歌い始めて。


  透明な歌声、うまいといえばうまい。


  まあ、自分でプロを名乗ってもいいかな、というレベルの歌なのですが。


  歌詞がね。


  歌詞がイヤ、私には。


  生きるって誰もがつらいことあるけど、私の歌でちょっとだけつらい気持ちが楽になったら。


  そういう歌詞なのですが、あまりにもしつこく「ちょっとだけ」が繰り返されるので、私はカトちゃんの「ちょっとだけよ~」を思い出してしまい。


  この歌、私の好みじゃないわ。


  もしかして、この歌に心打たれてCDまで買っちゃう人が続出して、有線から火がついて、テレビに出て、紅白に出て・・・てなるかもしれないけど。


  「ちょっとだけ」は、カトちゃんのセリフ。私にとってはそうなの。


  その歌を聴いていたらイライラしてきて、私は席を立ってバス停に向かい。


  その歌手、「あ、数少ない客の1人が帰っちゃった。せめてこの曲の最後まで聴いてほしかった。私が心を込めて歌っているのに」とがっかりするかも。


  今日の夜、伴奏しているキーボード奏者に、安宿で泣きながら、「私の歌ってダメなのかなあ。客が途中で帰るんだもの」と愚痴ったりするかも。


  だけどね。


  人気商売なんですから、歌手って。


  客がお情けで最後まで曲聴いてたら、その歌手は鍛えられないでしょ。


  今は駆け出し、いわば流しなんですから。


  メジャーな歌手を目指すには、地方回りでトホホ、の経験を積むべき。


  プロを名乗るなら、「私が一生懸命やりさえすればカネになる」という甘さを捨てるべき。


  お金をいただくって、大変なことなのよ。自分でカネもらえるか決めるもんじゃないの。客が決めるのよ。


  と書いてみても。


  やっぱ最後まであの曲を聴くべきだったかなあ。


  家に帰ってから、あの若い女性歌手がかわいそうになってきて。


  山梨出身のポエジーな名前の女性歌手。横文字のね。


  彼女の歌をふたたび聴くことがあるのかしら?


  それしても、「ちょっとだけ、ちょっとだけ」って連呼されてもな。


  家に帰ってこの話を娘にしたら。


  あ~、私もその歌イヤだと思うな。大衆の人気をアテにしすぎているのってイライラするわ。


  と、私に同感してくれた。