スポーツに勤しむ息子を見て。


  苦しみも喜びも、日々の積み重ねの結果、仲間と手にするもの。


  これって、すばらしいことじゃないかしら。


  口にするのもこっぱずかしい「青春」てヤツかも。


  「自分も若いときにスポーツに打ち込む経験をした方がよかったかも・・」とふと思うのですが。


  でも。

  

  人生、なるようになる。


  スポーツが私に合っていれば、やはりそういう人生を送っていたと思うので。


  やらなかったということは、やはりやらないのが合っていたのではないかと。


  でも。


  40過ぎからせっせとプールに通い、「意外と私は運動が好き?」と思ったり、「小学生のとき八戸でスケートが結構、好きだった」と思ったり、「あ、そういえば中学生のとき、長距離か砲丸投で試合に出ろ、て話になり砲丸投で出た」と黒歴史をひっくり返して眺めてみたり。


  で。


  初老になってみると、「うちの息子はスポーツに励んでる」と他人様に言うのが、想像以上に楽しいのよん。


  こんなに楽しいとはねえ。


  息子を産んでみるもんだわ。


  励んでるのは息子で、母ちゃんは見てるだけだけどな。


  で。


  昨日、息子の中学では保護者会と部活動後援会総会があり。


  保護者会しか私は出なかったのですが。


  部活動後援会総会も、学校として何に力を入れているか、何を誇りにしているか、それを知るために出てみればよかったかも。


  でも、めんどくさいから帰ってきた。


  で。


  「部活動後援会総会資料」という長い名前の資料には、「平成27年度事業報告」というページがあり。


  昨年、この中学の生徒たちが部活で汗を流し、悔し涙も、うれし涙も、喝采も、失望も、味わった記録が綴られ。


  冒頭に、「目の前の楽しみをすぐにつかみたい、そんな風潮が世の中に充満しています。でも真の充実感は、根気強い努力の上にあることを、部活動に取り組むことによって、子供たちは学ぶのではないでしょうか。毎日毎日、部員全員が一生懸命に活動する姿は、本当に美しいものです」


  ああ、すごい文章である。


  正論である。


  真実を語る文章は、美しい。


  その後に、(だから、部活のために親はいっぱい寄付してね!)という一文が隠されていたとしても。


  で。


  「昨年の部活動等の主な成果」というページ。


  全校生徒が300人以上いるので、こんなにご活躍?というくらいずらずら書かれていて。こんなにたくさん書かれているのなら、成果ってほどのことでもないかも。


  うちの息子のことが書かれているのは、5ページ中、5行です。


  で。


  クラスの保護者会、子供の名前が机に張られ、親御さんは子供の席に着くよう担任から指示され。


  来月の林間学校、その班で行くので、親同士も知り合いになった方がいい。そういう配慮。


  で。


  うちの班はみな、ママたちだったのですが。


  クラス全体では、パパも4人来ていた。


  中学の保護者会、年々パパも来るケースが増えて。


  パパ、会社に居場所がないのか?仕事よりも家庭を大事にしたいのか?終身雇用が崩壊するってそういうことなのか?


  で。


  私の前に座ったママも、斜め前に座ったママも、「このママの娘ならきっと可愛いに違いない」と思わせる女性で。


  息子から「同じ班に可愛い女の子がいる」と私は聞いてないぞ。


  で。


  斜め前に座ったママが、「うちの娘は駅伝部で」と言うので、私も「そういえばKちゃんの名前を駅伝部からのお知らせで見たことがあって」と話が弾み。


  その方、息子が2人、娘が1人。


  子供たちは皆、スポーツが好きだが才能はイマイチ。


  息子さんはサッカーのクラブチームに入っていたが、小学生のときに「クラブチームでやるほどの才能はない。中学に入ってから部活で道楽でやったら?」とチームのコーチに言われたそうで。


  娘さんも駅伝部で毎日、毎日、10キロくらい走っているそうですが、記録はイマイチ。


  ママが言うには、「スポーツでちょっといい成績だといい気になるじゃない?今の子って。だから、努力することに意味があるって程度の部活もいいかなあと思って」


  息子さんは本気でサッカー選手を目指すつもりだったので、本気でアスリートを目指す親子とたくさん知り合いになったという。


  陸上で県で一番になってね、実業団に入っていきなりコーチに「日本には都道府県が47あるんですよ」って言われた女の子がいて。


  要するに、県で一番程度ではプロのアスリートとして大したことない、そういうこと。


  日本では47番目になるかもしれぬ。それでは五輪に出るほどではないかもしれぬ。


  プロの世界は厳しいぞ。


  で。


  その話をしているとき、廊下の窓から校庭が見えて、部活に勤しむ子供たちの姿が。


  そのママが、「あ、うちの娘、あそこを走ってるわ」と指差し、Kちゃんたちが一団で校庭をひたすら走るのが見えて。


  そのとき、窓の下をうちの息子たちも一団で走り、その姿はすぐに見えなくなった。


  私とそのママは顔を見合わせ、「こうして自分の子が走っている姿を見られるだけでも幸せだからいいんじゃない?スポーツなんてその程度でいいのよ」という結論になり。


  まあ、全国を目指す選手は見えてる世界が違うんですよね。


  でも。


  中学の窓から見える校庭。


  その景色で母ちゃんは十分、幸せでした。