2015年6月29日

 20時過ぎ。 新幹線で東京に向かっている。 昨晩は高崎に泊まった。 午前中は群馬県知事選挙の応援。 前橋市内で行われた各種団体の決起大会で大沢候補の応援演説を炸裂させた。 昼過ぎの列車で東京へ。 午後からの東京日程をこなした。

 17時の自民党役員会に出席した後、再び地元へ。 高崎選出某県議の若手の会の総会・懇親会に顔を出し、激励のスピーチをやった。 東京にとんぼ返りする列車の中でパソコンのキーボードを叩いている。(ふう)  

 本日夕方の自民党役員会では、冒頭、谷垣幹事長から、自民党有志の勉強会(「文化芸術懇話会」)における問題発言をめぐる党の処分について説明があった。 木原稔・自民党青年局長は更迭の上、1年間の役職停止。 会議で不適切な発言をしたとされる3人の若手議員にも厳重注意したことが改めて報告された。 

 谷垣幹事長は、「気を緩めず、平和安全法制を成立させたい」とも話していた。 茂木選対委員長からは、「群馬の知事選をしっかり戦っていきたい」という発言があった。

 木原稔衆院議員は個人的によく知っている。 本人の名誉のために言っておくが、真面目で、勉強熱心で、真っ直ぐな人間性の持ち主だ。 行動力もあるし、何より信義に厚い。 第一次安倍内閣の時代に1年で辞任せざる得なかった安倍総理が「雌伏の時」を過ごしている時も、一貫して応援してくれた。 バランス感覚もある。(…はずだ。) 

 それだけに、今回の事態は残念としか言いようがない。 安倍総理のためを思ってやったことが、逆に総理の足を引っ張る結果になった。(ため息) 木原稔氏に期待しているからこそ、今度の件は猛省を促したい。

 自分はこの若手議員中心の「文化芸術懇話会」には全く関わっていない。 当然、会のメンバーでもない。 が、この勉強会を発足させる前に、木原議員から電話がかかってきた。 「勉強会の活動に関して、一太さんの意見が聞きたいんです。時間を取ってもらえませんか?」 参院議員会館事務所に現れた木原代議士と(紅茶を飲みながら)30分ほど言葉を交わした。

 「文化芸術懇話会」の目的や活動内容について話を聞いた。 が、反対するようなことはしなかった。 「保守系の文化人に自民党の考え方を発信してもらう」という趣旨は、けっして悪くないと思ったからだ。

 ただし、ひとつだけアドバイスした。 「ゲストの人選には十分、気をつけたほうがいい!」と。 が、こんなことになるなら、「このタイミングでの対外発信はくれぐれも慎重に!」くらいは言ってあげればよかった。 先輩議員として反省している。 

 政府であろうと、政治家個人であろうと、メディアの不正確な報道や偏った発信を批判したり、抗議したりすることは、ちっともおかしくない。 が、そこにはルールというものがある。 個々の報道の内容に反論するのはいいが、与党議員として「メディアの報道自体を規制する」かのような言動は慎まねばならない。 

 その観点からすると、今回、確実に外に漏れると分かっていた勉強会でなされた一連の発言は、どう考えても不適切だった。 谷垣幹事長も会見で指摘していたが、自民党と沖縄の信頼関係にもマイナスに働いたことは明らかだ。 

 そもそも民主主義国家において、政治とメディアの間に「健全な緊張関係」があるのは当然だ。 そうでなくても「一強多弱」と呼ばれている状況を考えれば、政権与党である自民党は、国民に対して常に謙虚で丁寧に物事を進めていく姿勢を示す必要がある。 ましてや、現時点では十分に理解を得られているとは言い難い平和・安全法制を(日本の安全を守るために)何としても今国会で成立させねばならないのだ。 

 この時期に与党の議員が言論弾圧を試みているかのような誤解を与える発言をすれば、国民の目には(自民党はもちろん)「安倍政権全体が傲慢になっている」と映るに決まっている。 そもそも今、こんな議論が外に漏れたらマスコミや野党がどんな反応を示すか、国民がどう感じるか、結果として国会の審議にどんな影響を与えるのかについて、想像力が欠けていたと言わざる得ない。

 連日、群馬県知事選挙の応援で地元を飛び回っている。 ある自民党支持者のひとにこう叱られた。 そのまま正確に書く。

 「一太さん。私の目から見ると、平和・安全法制は安倍総理が孤軍奮闘しているように感じる。他の自民党議員は一体、何をしているんだ。だいいち、党の地方支部だって(法案の理解を促進するために)もっと出来ることがあるんじゃないのか。衆院の憲法審査会で自民党が『集団的自衛権は違憲だ』と主張している学者を参考人に呼んだのも論外だ。(怒)緩んでいるとしか言いようがない。回りに足を引っ張られている安倍さんがあまりに気の毒じゃないか!安倍応援団としてもっと総理を助けてあげてくれよ!」

 以前のブログにも書いた。 「安倍総理自身に油断や慢心は感じられない」と。 特別委員会でも、予算委員会でも、総理の答弁は安定している。 自らの言葉で法案の意義を懸命に説明している。 時に興奮することもあるが、基本的には(あらゆる問題に対して)極めて冷静に、注意深く対処している。 が、こんなことが続いたら、自民党に慢心や油断があると言われても仕方がない。

 国会の大幅延長を決めるにあたって、総理は「議論を尽くして国民の理解を得たい」と明言した。 その流れを取り戻すために、次の2週間は極めて重要だ。 自民党議員一人一人が奢りを捨て、心をひとつにして安倍総理を支えなければならない。   


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」