「人を信じよ、しかしその百倍も自らを信じよ」
「今、ここで、自分が、描かなければ、誰が描くんだろう」
「僕にとって、マンガは本妻、アニメは愛人なのです」

・・・これらは、あの手塚治虫氏が遺した言葉の数々です。
さすが、というか、やはり、というべきか。


この赤い表紙が印象的な
『あなたがいい。超訳 手塚治虫』(リンダパブリッシャーズ企画・泰文堂)
の著者は、漫画家でもあり、文筆家として大先輩でもある、おかのきんやさんです。
(以前、『心質改善』という共著を出させていただきました)

おかのさんのご著書は何冊あるのかわからない程なのですが、
今回のこの1冊は、また一段と思い入れのあるものだそうです。

それもそのはず。
おかのさんは、高校生のときに手塚治虫さんのファンの集いにでかけ、
その帰りにとぼとぼ歩いていたら、通りがかったタクシーから突然、
手塚先生から声をかけられ、
「君、これから始まる2次会に一緒にいきませんか」と言われて、

頭が真っ白なまま一緒にタクシーに乗り、有名な漫画家たちが集った会に参加。
そのことががきっかけで、「漫画家になる」と強く決意され、
本当に、その2年後に漫画家になられたそうです。

この本を手にするまで、スーパースターの手塚先生が数億もの借金を背負ったことが
あったことや、嫉妬や老いに苦しんだことがあったことなど、知りませんでした。
そういった苦境を越えて、生涯15万ページに及ぶ作品を遺されたのですね・・・

手塚先生は、人を勇気づける達人であったのと同時に、
「自分自身」を勇気づける達人であったそうです。
「自分でいい。こんな自分だから、いいんだ」と。

あと、ご自身のイメージがぶれず、読者に浸透していくよう
手塚先生は日々、とても意識されていたそうです。
「手塚治虫」という文字を見ただけで、べレー帽をかぶった手塚先生の姿が
目に浮かんできますよね。
まさに、これぞブランディング。
そういったことをP35に、私の持論もちょこっとご紹介いただいて書かれています。
なんだかそれも、子供の頃、夢中になってブラックジャックを繰り返し読んでいた
私にとっては、まさに夢のような悦びです・・・。

「勇気をくれる51の言葉」が、優しく胸に届く、そんな1冊です。