板子一枚 | 一目均衡表日記

板子一枚

山人の話と言えば、このブログで何度かご紹介したHさんからお聞きした話が一番多いのであります。

竹内先生とこのHさんは同人会の中でも、特に売買回数といいますか勝負の好きなお二人でありまして、竹内先生など「随分乱暴な売買をした」と今でも笑っておっしゃるのですが、二人そろって山人に「君達は野放図だね」とあきれたように指摘されたとのことです。

続けて「君達の売買は上空一万メートルの板一枚に立って、勝負しているようなものだ、僕のは板子一枚でもちゃんと地べたに張り付いているから少しばかり風が吹いても死ぬような事はないよ。」


Hさんは同時に「心根が大事だ」と良く叱られたそうであります。「君には儲けるには充分なテクニックは教えてあるけれど、そんな心構えなら、仮に10億、20億持っていても、必ず失敗するよ。」と。

結局その通りになった。とHさんは笑いますが、それも現在充実しているからで、損失の可能性にさらされている当事者にとっては笑い話ではすまされません。


このような事をふと書いたのは、今年頂いた不愉快なお便りを一つ思い出したからでありまして、私の「警戒を要す」という表現に対し「我々投資家にとっては警戒を要すポジションというものは無い、上げ下げを常に明確に出来ぬなら、あなたのコメント等役に立たないから止めてしまえ」といった内容でありまして、原著もお読みになり、イッパシの学門を修め、罫線のことも色々と知識を得ていても判らぬ人には判らない、その理由を探っているからであります。


儲ける事よりも生き残る事が難しい、という認識は一昔前までは普通にあったように感じますが、今現在はどうなのでしょう。

失敗を直視し、失敗を語る、私としてはそういう人の相場認識を信用します。

私と同世代か、それより上の証券のディーラーの方々は大抵は営業を出発点としておりまして、営業、お客の売買を通して失敗を学んだ人が大抵生き残っているような気がします。