別冊宝島167学問の仕事場
という本は非常に感銘を受けた本の一つです。
調べてみたら1992年出版だそうでこの本のおかげで白川静、井筒俊彦といったすばらしい学者を知りました。
他にも阿部謹也、網野善彦、鶴見良行のインタビューが掲載されていて当時は鶴見良行ファンとして手に取ったにすぎません。
阿部謹也「ハーメルンの笛吹き男」は非常に面白い本でしたし、網野善彦は高校時代の同級生のお父さんだった事もありよく読んでいましたが井筒俊彦の話には衝撃を受けた記憶があります。
井筒氏は若い頃(戦時中)、大川周明との関係があって日本に滞在中のイスラーム学者を知る機会があったそうであります。
大川にはイスラーム関係の貴重な蔵書が多数あり、そのイスラーム学者は時々本を借りにきました。
そのイスラーム学者は借りた本を読んでそれを覚えてしまうと返しに来る、繰り返す中で井筒氏に対して本が無かったらどうやって勉強するのか問うてきたそうで、頭の中にはコーランもハディースも過去の歴史的な学者達の注釈も入っている、と同時に自分自身の研究も自在に頭の中でなされているイスラーム学者を知ってそれは貴重な経験であったということでした。
この話は別冊宝島読んだのか誰かとの対談集で読んだのか記憶が定かではありませんが天才と評された井筒氏が常に淡々と成すべき仕事を残してきた事と無縁ではないような気がします。
それにしても20年前はやはりのどかでよい時代だったのですね。
良い本がそれなりにきちんと売れていた。その結果として現在の私たちも彼らの本を読むことが出来ます。
無論どんな時代であってもよいものは世に出るし評価もされる事ですが。