悼む人|PARCO劇場|パルコ劇場

www.parco-play.com/web/play/itamuhito/ - キャッシュ
原作:天童荒太 脚本:大森寿美男 演出:堤 幸彦 出演:向井 理 小西真奈美 手塚とおる 真野恵里菜 伊藤 蘭.


東京での公演があんなにあるのに、自分でできる範囲で手を尽くしても前売り券は手にできなかった。
向井君がこんなに「国民的人気俳優」になる前に発売だった前回の初舞台「ザ・シェイプ・オブ・シングス」のときですらひたすらダメだったので、
今回も無理だろうな~と思いつつ、淡い期待をかけてトライしたのだがやっぱりダメだった。
↓向井君の初舞台を見るまでの道のり(笑)

でも、最近の向井君のお芝居ったら「ハングリー」とか「サマー レスキュー」だったわけで、向井君の現時点のお芝居を確認しておきたいという気持ちもあんまり盛り上がらず「チケット取れなければ別にいや・・・」と思っていた。
しかも今回の舞台監督が堤幸彦さん。
映画館まで出かけて向井君のお芝居を確認した「BECK」の監督だ。
「BECK」の向井君もなんだかイケてなかった。もちろん、金髪であろうと、(敢えて鍛えていない)上半身裸であろうと向井君はあくまでもかっこいい。
それでも、妙に力んだ感じのする演技とか見ていていたたまれなくなる(←勝手な身内的心情)瞬間も多くて、「監督さんはちゃんと指導してあげるなり、いい演技するまであきらめないとか、もっと頑張ってほしかった。向井君はやればできる子なんだから」などど、我ながら何様かと思うような感想を持ったりもした。

そして、10月19日の杮落しを迎えても私には無縁の舞台だと思っていた。
が、ラッキーなことに10月20日の夜公演のキャンセル待ちができることになったのだ。
8番目だったので、ダメもとで渋谷PARCO劇場まで向かった。ダメでもやることが山のようにあるのでそれも片づけたいから別にいいや・・・くらいの気持ちだった。

パルコ劇場のある9Fでエレベーターを降りて隅っこに移動すると堤監督がちんまり(笑)と美しい立ち姿でいらした。
TVで見るのとまったく同じ印象だったので不思議な感じ。

ロビーはあふれんばかりの花。青山劇場の初舞台のときは、出演者4名でほぼ向井君宛ての花だったが、今回は出演者5名で向井君宛ては6割くらい?
やはり、TV局やスポンサー、出版社、今までの共演者が多い。
黒木瞳さんからは、胡蝶蘭6本立。浮いてたけど、ヅカ出身者らしい。(笑)
ひときわ目立ってセンスも良くゴージャスだった花台は、木梨憲武・安田成美連名のもので、伊藤蘭さん宛てだった。

私の前には4名程度しかいなかったせいか、キャンセル待ち8番だったが、開演ぎりぎりのタイミングで購入・入場できた。
ちなみに、初舞台@青山劇場のときは当日券購入の際には残っている席から選べたが、今回は全く有無を言わせないでチケットを手渡されたため
お金を払う時点でどの席なのか全くわからなかった。

たぶん、関係者用のキープ席の解除だったのだろう。客席を前後に二分する通路を背中にした舞台寄りの席で、舞台から客席後方に伸びる中央2本の通路傍の席だった。
私の前の席の老紳士は、たぶん演劇界で有名なO先生だ。昔よく見に行っていた下北沢の劇場での洋物のお芝居の脚本を翻訳していらしたし、演劇評もよく見かけていたしもっと若かりし日はよく劇場でお見かけしていた。
やっぱりいいお席なのね♪感謝感謝。

お芝居の詳細については、神奈川での最終公演が終わるまで控えるが、今まで色々見てきた演劇とはかなり趣向が違っていて、さすが「映像の監督」が作った演劇だと思った。演劇にもいろいろあって、NYのメトロポリタン歌劇場でのオペラ(これを演劇といっていいのかは置いておく)のように、馬車だって本物の馬が2頭立てで出てきたり、セットもまるで本物だったり衣装も時代に忠実に豪華絢爛に再現されているようなものから、蜷川幸雄演出のように舞台に階段をつくって地味な現代服でシェークスピアをやったりというものまであるが、そういった振れ幅とは違うアプローチの演出だった。

ポスターにも「映像:堤幸彦」と書いてあるから別にネタばれではないと思うが、セットは最小限でとにかく映像で内容をフォローしまくるのだ。

役者が舞台で日記を読んでいるときには、その日記の文字がはっきり読み取れるくらいにアップになるし、どこかの話になればその場所の映像が出てくるし、なんというか説明映像オンパレードなのだ。肉体のない人?のセリフのときにはレーザーで描かれた物体が、セリフに合わせて動くのだが、その映像の感じとか声の響きで、「ルパン3世 ルパンVS複製人間」のマモーを思い出したのは、私が変なのか?

と、通常の演劇に慣れていると、限られた空間とセットの中で役者力で想像力を掻き立て、観る者の感情を揺さぶるのが小劇場演劇の醍醐味ではないか?とか思っちゃうんだけど、そんな偏屈な常識をかる~く吹っ飛ばしてくれた堤監督。勇気あるわぁ。
今回の配役を見ても、映像出身者が多いので観客も映像のノリで舞台を見るだろうから、ある意味正解かも。これはこれでアリだとは思った。
ちなみにO先生は、かなりの時間スヤスヤしていらっしゃいました。(笑)

そして、演出で素晴らしかったのが通路も効果的に使っていたところなのだが、なんと、向井君と顔の距離1mくらいじゃない???って感じで5分くらい(←計ってないからテキトーだけど)観劇することができたってこと。いや、実際観劇っていうより感激だったなぁ。(←つまんないおやじギャグみたいだけど)だって、間近で見るシリアス芝居中の向井君のカッコよさったらこの世のものとは思えないほどで、お芝居を観る余裕なんて全くなくって、萌え死にそうなのを必死で抑えてましたわ。
初舞台の時も間近で見ることができたけど、役のせいもあって今回の方がもっともっとかっこよかった。
あんなにありえないくらいカッコいいのに、どうして映像や写真ではあんなにのっぺりしちゃうんだろう?

それに、上半身裸のシーンがあったのだが、ananでのヌードのときと違って、かなり引き締まっていた。ま、私は皆さんと違ってその辺はどっちでもいいんだけど。(笑)
これに関しては、私に「ananでのヌード」ページをくれて、「お腹がポヨポヨで許せない」と発言していた「ハゲタカのお友達」に報告しなくちゃ!と思ったり。(笑)

肝心の向井君のお芝居ですが・・・これが、よかったんですよ、皆様!
まったく期待してなかったのに(←オイオイ)よかったんですよ。
どんなによかったのかとか、その辺は全部終わってから書きます。
だめもとで神奈川も参戦すべく気合は十分なので。(笑)
これから堤さんに育ててもらったりして、阿部寛さんみたくいい味を引き出してほしい!

とにかく、かっこよさは尋常じゃなかったし、お芝居もとってもよくっていろいろ思っていたことは杞憂におわったってことでめでたしめでたし。