(Ⅵ) アフリート(17)

 深夜にただ一人の伯母には、恐ろしい妖怪が伸びたり縮んだり、右に左に揺れ動いているように見えた。ナツメヤシの枝は、この妖怪が手にして彼女を打とうとしている、恐ろしい鞭に見えたに違いない。それは彼女を錯乱させるに十分な状況だったが、それでも彼女は気持ちを奮い立たせて走り逃げ、家のドアにまでたどり着いた。彼女は恐ろしさのあまり、力の限りドアをたたいて、中で眠っている人たちを起こした。彼女は死んだように静かになっている赤子を抱きしめたまま、入り口で気を失った。

 回復した彼女は、伯母と家族の男と共に、聖人の家にたどり着くことができた。彼女は新生の赤子のために訪ねたのだが、彼女のためでもあった。だが、聖人は彼らを迎えることを拒んだ。それは使命の失敗、運命の成就を意味していた。

 七日目、非常に深刻な症状を示して、赤子は最後の息をひきとった。産婆が未消毒のナイフを使ってへその緒を切り、破傷風が赤子の命を奪ったのだった。破傷風菌がナイフを汚染、感染する傷を赤子に残した。四日から六日の潜伏期間を経て発病した。かわいい男児に対する怒りを爆発させて、分身精霊は使命を全うした。