ハイバルのそのほかの物語(3)

 マルワーン・イブン・ウスマーン・イブン・アブー・サイード・イブヌル・ムアッラは、私に伝えた。使徒は、死に至る病に侵されていたとき、見舞いに訪れたウンム・ビシュル・イブヌル・バラーアに、「おお、ウンム・ビシュルよ、私は、ハイバルでそなたの息子と共に食したものによる激痛を、今になって感じている」、と語った。ムスリムたちは、使徒は神から授けられた預言者の任務の栄誉に加えて、殉教者として亡くなったと考えている。

  ハイバルを制圧した使徒は、ワーディル・クラ〔村々の涸れ河〕に向かい、何日間かそこを包囲し、それからマディーナに帰った。  
 サウル・イブン・ザイドは、アブドッラー・イブン・ムティーウの元奴隷サーリムが、アブー・ホライラから聞いたことを私に語った。「我らは使徒と共にハイバルを離れてワーディル・クラに向かい、ちょうど太陽が沈む夕方にその地に到着した。使徒は、アッドゥバイビ家のリファーア・イブン・ザイドル・ジュザーミが贈った奴隷を伴っていた。使徒の鞍を下ろしているとき、流れ矢が当たって彼は死んだ。我らは彼に楽園をと祈願したが、使徒は、
それは決してあり得ない。今、地獄で彼の外套は、彼の上で燃えている。彼はそれをハイバルの日、ムスリムの戦利品の中からこっそり盗んだのだ、と言われた。これを聞いた教友の一人が使徒のもとに来て、私はサンダルの革紐を二つとりました、と告白した。使徒は、その革紐に似た火の紐が二つお前のために用意されよう、と言われた」。 
 
 私が完全に信頼するある人物は、アブドッラー・イブン・ムガッファルル・ムザニを典拠として聞いた話を私に伝えた。「私がハイバルの戦利品の中から脂肪が入った革袋を取り上げ、肩に担いで仲間のところに運んで行こうとしていると、戦利品を監視していた男が私を見つけ、革袋の端をつかんで、
こら、我らはこれをムスリムの間で分配しなければならないのだ、と言った。私は彼にそれを返さないと言い、彼はそれを引っ張って私から奪おうとした。それを見ていた使徒は笑われた。そして使徒は戦利品の監視役に、いいかげんにしなさい、それを彼に持たせなさい
、と言われた。監視役がそれを放したので、私は仲間のところに運んで行って皆で食べた」。