ハイバルのそのほかの物語(2)

 この条件で降伏したハイバルの人びとは、土地の収穫物の半分を受け取る小作人として彼らを雇うように使徒に願い出て、「我らはあなた方よりこの土地をよく知っており、より優れた農夫である」、と言った。使徒は、「我らが追放したいときには、お前たちを追放する」、という条件の下で、この取り決めに同意した。使徒はファダクの人びととも、同様の取り決めを行った。このため、ハイバルはムスリムの戦利品となり、ファダクは、馬やラクダでムスリムたちが陥落させたのではないため、使徒の私有財産となった。

  使徒がサッラーム・イブン・ミシュカムの妻ザイナブ・ビントル・ハーリスのもとで休んでいると、彼女は使徒に羊の丸焼きを用意し、どの部位を好むかと事前に使徒に尋ねた。それが肩肉だと知ると彼女は、その部分に大量の毒を盛り、全体にも毒を塗りこんだ。そして彼女はそれを運び入れ、使徒にさし出した。使徒は肩肉をつかみ一口噛んだが、飲み込まなかった。使徒と共にいたビシュル・イブヌル・バラーア・イブン・マアルールは、使徒と同じように一口噛み、彼はそれを飲み込んでしまったが、使徒はそれを吐き出して、「この骨は毒されていると私に話している」、と言った。使徒がザイナブを呼び出すと彼女は白状し、なぜこのようなことをしたかと尋ねられると、「あなたは、我らの民にあなた方が何をしたかよくご存知のはずです。もしあなたが、ただの王であれば、私はあなたを片付けることができ、そしてもしあなたが真の預言者であれば、あなたは毒の存在を察知することができるはずだ、と私は考えました」、と彼女は答えた。使徒は彼女を不問に付したが、ビシュルは毒肉を食べたため亡くなった。