緊張と興奮を身にまとう | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

お客さんのいない劇場は、この季節、とても寒いです。

市民会館などの公共施設のホールは、古い建物だったりすると、空調の効きがよくなくて、足元に冷たい空気が流れていることが多いです。

普通の稽古だと衣装などは身に着けないし、照明もまだありません。

そうするとやっぱり、待ち時間が寒いんですね。

 

ところが、これが、本番が近づき、ゲネプロの段階までくると感覚が変わってくるのがわかります。

衣装をつけて舞台に向かったとたんに、寒さを(夏なら暑さを)感じなくなるのです。

いや、知覚としてはわかってるんですよ。冷たい空気が流れてるなとかそういうことは。

でもそれを、感覚としての「寒さ」に結び付けることがないのです。

 

あれはなんなんだろうなあと思っていたのですが、今日ふと気づきました。

あれは「舞台に立つという緊張と興奮を身にまとっている状態」なのだということに。

自分の外側に膜ができてすっぽりくるまれているみたい。

 

それくらい、非日常的な空間であり、時間であるということなんだなあと思います。

 

そして今日、無事にゲネプロも終わり、いよいよ明日は本番です。

今日は空っぽだった客席に、お客さんが座るのです。

ドキドキします。

劇団で公演をうつときはまた違った緊張と喜びがあります。

お客さんが楽しんでくれるといいな。

がんばります。