「体」を意識すること | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

今日から本式にバレエ教室通いが始まりました。

毎週行くっていうのがいいんですよ。ほんとは毎日やった方が効果はあるんですけどね。

まあ、そこは自主練ってことで(笑)

 

たった1時間のレッスンですが、滝のように汗が出ます。

バレエのすごいところはただ立っているだけで、ものすごくたくさんの筋肉を使う、そしてそのことを明確に意識する、というところです。

 

ふだん、なんとなく立っているときって、自分の体がどんなふうになっているかなんてまったく意識しません。だから、いつの間にか背中が丸くなっているし、おなかは突き出ているし、お尻はだらんと垂れ下がっているのです。街を歩いていてガラスに映った己のぶざまな姿にぎょっとするのはこういうとき。

 

バレエのレッスンのときは、まずまっすぐ立つことから意識します。

肩を下げて、肩甲骨を寄せて、肋骨絞めて、おへそを引き上げるようなつもりで、お尻をきゅっと引き締める。内腿は筋を上へ引き上げるような気持ち、ひざをきちんとつける。そのうえで、頭のてっぺんに糸がついていて天井からつりさげられていると想像する。

ここまでやるとね、立ってるだけで汗が出ます。全身の筋肉をいちいち意識する。

バレエをやってる人には当たり前の姿勢なんですけど、初めてバレエを習ったときにはほんとにびっくりしました。きれいに立つって、すごく大変なんだなと。

いちばんいいのは、これらをまったく考えることなく自然にできるようになること。

そうすると、体幹がぶれずにきちんと立っていられるので、そこから、足をあげたり、曲げたりという段階へ進みます。

 

役者というのも、芝居をしている間にものすごくたくさんのことを一度に考えたり感じたりしなくてはなりません。ただ覚えたセリフを唱えているだけじゃだめなんですね。

自分の体がどんなふうになっているか、舞台のどの場所にいるか、相手はどこにいるか、ほかの役者はどこにいるか、こういう客観的な視点と同時に、自分の中で沸き起こる感情にも注意しなくてはなりません。非常に不自然なことをしているのに、それをあたかも「自然に」しているように見せなくてはならないのですから。

 

頭ではわかってるつもりでもできてないことはたくさんあります。

バレエの場合、鏡を見ながらレッスンするんですが、すぐに左右がごっちゃになります。(初心者の場合ですよ)

先生が、「右足前」って言ってるのに、なぜか「左足」が前に来てて、それを指摘されてもすぐに直せなかったり、右へ進んで、と言われたのに左に行ってしまったり。

自分の足がどこにあって、今何をしているのか、ふだんはそんなことまったく意識にも上らないので、急にそこに意識をやることができないんですね。

 

バレエの先生はけっこう厳しいタイプの先生なので、間違えるとびしびしお叱りの言葉が飛んできます。でもそれがけっこう嬉しかったんですね。

なにくそ、と思うんですよ。できるまでやるぞ、と思える。

芝居の稽古でも、演出家に細かい指摘やダメ出しをもらうほうが嬉しいのです。改良の余地がたくさんあるってことだから。

「人それぞれだからね~、なんでもいいよ」って言われる方がつまんないかな。昔はそういわれた方が安心できたんですけどね。

 

自分には足りないところ、できてないところがたくさんある。そのことにへこんだりせず、がんばっていこう、と、やけに前向きポジティブな感じになっています。そういう時期なのかな。

とりあえず本番まではこのテンションを保ちたいと思います。