「 ノイジー・マイノリティー 」楽曲解説(その6 ) | ヒステリックパニック 非公式ブログ。

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Track 09
「 ハナウタ 


前作「 あいのかち 」に続くバラード第2弾。


前回に続き今回もまたまた名曲が誕生してしまったので「 ヒスパニ バラードは毎回名曲になる説 」がそろそろ立証出来そうな気もしてきました。





作曲者である$EIGOから この楽曲が出来た経緯、そしてその楽曲構成が「 人が生まれてから死ぬまでの一生 」を表現していると聞き、そこから楽曲のイメージに寄せて歌詞を書き始めました。


普段 歌詞のテーマや内容に関して基本的にディレクションしない$EIGOから事前に「 大切な曲 」だと聞いていたので、この楽曲はなるべくその意思を汲み取った上で自分なりに表現出来ればなぁと。





歌詞の内容としては「 人の一生 」を花に喩えて書いているのですが、その中でも自分なりの視点として「 いち音楽家としての人生 」にフォーカスを当てて書いています。


たかだかギャーギャー叫んでいるだけのバンドマンが「 音楽家 」なんて名乗るのは烏滸がましいので そんな大層なモノでは無いのですが、

曲がりなりにも今メジャーと言うフィールドで音楽活動をさせて頂いている人間の端くれとして、自身を投影させた「 とある1人の音楽家の人生 」を歌ったつもりです。





ここで言う「 ハナウタ 」とは、音楽家が日々歌う様を表した「 鼻唄 」と、花の一生を描いた唄の意を指す「 花唄 」とのダブルミーニング。





気付いた方も多いかもしれませんが サビの歌詞は「 伊呂波歌( いろはうた ) 」をベースに、それをアレンジしたモノになっています。


誰しもが国語の時間に習う「 いろはにほへとちりぬるを〜 」と言った、昔で言うところの「 あいうえお 」的な日本語の基礎となった詩ですね。



詩の意味合いとしては「 世の無常 」を説いたモノで、構成される四句それぞれによってまた意味が微妙に異なるのですが、この楽曲では主に一句目に歌われる「 諸行無常 」をメインに書いています。





「 諸行無常 」とは この世の全てのモノは常に変化・生滅して、永遠・不変で在る事は無い 事を指します。





加えて、凡そ同じ「 諸行無常 」や「 盛者必衰の理 」を歌った「 平家物語 」を一部モデルにしている部分が有ったり、


Aメロに出て来る「 メメントの森 」と言うワードはラテン語( 何故かここに来ていきなりのラテン語! )の死生観を表す

「 メメント・モリ( memento mori )」 = 「 人はいつか死んでしまう事を忘れないで 」と言う警句から引用していたりします。


また「 memento 」には「 記憶 」や「 思い出 」と言った意味が有り、生前の記憶や思い出の宿る森で花が咲き乱れているような、空想上での「 死後の世界 」をイメージして書きました。










因みに、これは余談なんですがインディーズ時代にお経の「 般若心経 」をそのまま歌った「 般若 」と言う楽曲が有るのですが、実はあの経文も「 伊呂波歌 」とほぼほぼ同じような意味合いが有るんですよ。


「 お前仏教とか大好きだな 」と突っ込まれそうなんですが、実際そこまで専門的な知識も無ければ そちらに造詣が深い訳では無いので 認識や解釈として所々もし間違っていたらゴメンナサイって感じなのですが。。。










話は戻りまして。


「 伊呂波歌 」をベースに書いたサビの歌詞ですが、最後の結句だけは自分なりにアレンジしていて。


原文では「 浅き夢見じ 酔いもせず 」と有り、現代語訳的には「 浅はかな夢を見たり それに酔ったりもしない 」と言う意味なのですが、

今現在「 音楽家になりたい 」と言う夢が叶った自分としては束の間の夢の真最中なので、ここはそう改変しています。





歌詞中に出て来る「 路地裏 」や「 日陰 」と言ったキーワードは正しくこれまで陽の目を浴びて来なかった自分の暗い人生を揶揄しているんですが、

それでも「 音楽 」と言う栄養素を糧に 長い冬を乗り越えたその先で見事に花開き 春が訪れます。





「 朧夜 」とは朧月の浮かぶ、春の夜の事。


前述の「 平家物語 」にも「 ただ春の夜の夢の如し 」と有るように、春の夜は夢の如く 瞬く間に終わってしまうモノ。





そして「 歪な辞世の詩 」。


「 歪 」は激しく歪んだヒスパニの楽曲の事を指し、「 辞世の詩 」とは人がこの世を去る時に詠む詩の事。





例えば、明日 不慮の事故などで自分がこの世を去ったとして、

昨日までの自分が命を賭して作ったこの楽曲が、己の人生で最後の歌に成り得るかもしれません。





これは常々言っているのですが、バンドも 人間も時間は有限なので新曲を作る度 心の片隅では「 この楽曲が最後になるかもしれない 」と言う思いを抱きつつ、全力で歌詞を綴っています。



これは、その最たる作品。





それでも、これを宛てた「 君 」にこの詩は届かないかもしれない。




届かないとは知りながらも、今日も路地裏で花は枯れるまで歌い続ける。




なんて無常な世界だろう。









これは、そんな1人の音楽家のお話。