愛する人に何を捧げることが出来ますか?~「最後の贈り物」 | ひょうたんからこまッ・Part2

愛する人に何を捧げることが出来ますか?~「最後の贈り物」

『最後の贈り物』
原題:最後の贈り物…帰休

His Last Gift

마지막 선물...귀휴

(2008年・韓国/98分)

“韓流シネマフェスティバル2009~約束~

『最後の贈り物』ブロガー試写会”にて鑑賞
「“韓流シネマフェスティバル2009~約束~」公式サイト


愛、離別、友情、出会い、親子の絆、献身。

この物語には、

その全てが贅沢に閉じ込められている。

帰休・・・罪を犯した者が、

一時的に手に入れることの出来る自由な時間。

塀の外へ10日間だけ出ることを許された男には、

ある「任務」が待っていた。

だが、その「任務」は、

ある「出会い」と、

予想以上に過酷な運命を男に運んできた。

この世にたったひとり存在する小さき愛する者へ、

彼が贈った究極のプレゼントとは・・・。


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<脚本>

ポム・ウィファン,チェ・ジノ
<監督>
キム・ヨンジュン
<撮影>
ソ・グニ

<音楽>
キム・ジュンソン

<キャスト>
カン・テジュ:シン・ヒョンジュン

チョ・ヨンウ(テジュの昔なじみの刑事):ホ・ジュノ
チョ・セヒ:チョ・スミン   
ドンヒョン:クォン・オジュン   
ヨンテ:キム・サンホ   
チョルグ:チョ・ウォニ    
<特別出演>

 へヨン:ハ・ジウォン  
 班長:キ・ジュボン   
チョ・ヨンウの兄:キム・ミョングク  
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※韓流シネマフェスティバル 2009 ~約束~オフィシャルより画像提供


あの大ヒットドラマ「天国の階段」 で、

チェ・ジウ演じるヒロインに「ある壮絶なプレゼント」を贈った愛に一途な男、テファ。

そのテファを演じ人々の心に強烈な印象を残した俳優シン・ヒョジュンが、

あの時愛する女性に捧げた献身とはまた違う切なくも美しい献身を新たに描く。


「酷似するドラマとの比較」

実は、この物語と似たドラマをこの春のテレビ放送で観ました。

阿部寛さんが主演したフジテレビ系列のドラマ『白い春』 です。

ドラマをご覧になっていた方なら分かると思いますが、

阿部寛さんがシン・ヒョンジュンさん演じるカン・テジュなら、
遠藤憲一さんはホ・ジュノさん演じる刑事のチョ・ソンウでしょうか。

映画の原作はTV局KBSが公募した“KBSドラマシティ”で

見事に入選を果たした作品とのことですが、

とにかくこのふたつの作品は良く似ているのです。

主人公はどちらも組織の上層部を殺して刑務に服していた男。
そしてどちらにも、互いにその存在を知ることの無かったひとりの娘がいます。

そして、両者の事情は違えど主人公の男が塀の外に出ることで、

それまで平和に暮らしてきた血の繋がらないある親子の暮らしに変化が訪れます・・・。


『白い春』 を観る前であったなら、より感涙を誘われたであろうこの作品。

両者があまりに似過ぎた物語だったため、

物語の着地点の予想が安易についてしまい、

私自身に関して言えば泣くきっかけを多少なりとも失ってしまったこと。

・・・それが唯一とても残念に思われた作品です。


両者の違いを挙げるとすれば、

『白い春』 では間接的だった主人公から少女への「贈り物」が、

この『最後の贈り物』 では直接的なものになっていること。

題名からも予測がついてしまいますが、

究極の愛を具現化した「唯一無二の贈り物」へと形を変えています。


また、どちらにも共通に描かれているのは、

同じ女性を愛したふたりの男が互いに相手に対し抱く心の葛藤、

そして血のつながりがあろうとなかろうと、

娘に捧げる愛の深さは変わらぬふたりの男の間に

いつしか芽生える同士愛にも似た感情、

愛しき小さな存在に注がれる無骨だが無償の愛や、

その愛に純粋に応えようとする少女のあまりに無垢な姿・・・。

どのエピソードも見る者の心を揺さぶるには十分です。

日本のドラマを未見の方ならきっと新鮮な感動を覚えるでしょう。

また、私のような感覚を持った方でも、

心地よい既視感を持った感動に少なからずとも浸れるはず。

何れにせよ、鑑賞をお薦めしたいハートフルな内容の物語のひとつであることは確かです。

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※韓流シネマフェスティバル 2009 ~約束~オフィシャルより画像提供


「個性的な配役の勝利」

実は、コメディを演じても個性的で楽しいヒョンジュンさんですが、

もともと私が彼や彼の演技に「興味を抱く」きっかけを作ってくれたのは、

上にも書いた「天国の階段」 でのテファ役です。

あのドラマでテファが愛する人のために取ったある壮絶な自己犠牲のシーンは、

未だに何度観ても泣かされています。

そのテファにも通ずる役をこの作品でも見事に演じているヒョンジュンさん。

それまでの作品であまりにコミカルな印象がつき過ぎていたため、

当初この役には適さないのではと危惧されたそうですが、

そんな心配は無用だったのは当たり前ですよね。

公式サイトに書かれているように『最後の贈り物』

正統派シン・ヒョンジュンの存在感を改めて示す作品となったことは嬉しい限りです。

またここにはもうひとり、私の大好きな俳優ホ・ジュノさんが登場します。

私が初めてホ・ジュノさんに注目するきっかけとなったのは、

イ・ビョンホン主演のドラマ『オールイン~運命の愛』で演じたユ・ジョング役。

ホ・ジュノさんご自身、韓国ではもはや貴重な存在の俳優ですから、

特に気にせずとも様々なシーンで彼の活躍は目にしてきました。

この実力派俳優と特別出演のハ・ジウォンの演技による「援護射撃」も、

この作品で堪能して欲しい部分であると同時に、

子役のチョ・スミンの愛らしさにもぜひ注目してもらいたいです。


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※韓流シネマフェスティバル 2009 ~約束~オフィシャルより画像提供


<付記>

シン・ヒョンジュン受賞歴

1992年大鐘賞 新人男優賞
1995年ベストドレッサー
2006年 青龍映画賞 人気スター賞

ホ・ジュノ受賞歴

1995 第16回 青龍賞 男優助演賞(テロリスト 哀しき男に捧げ
1998 MBC演技大賞 男子演技賞,人気賞
2000 第6回 韓国ミュージカル大賞 主演男優賞
2002 第8回 韓国ミュージカル大賞 人気スター賞
2003 SBS演技大賞 助演賞
2004 第41回 大鐘賞映画祭 助演男優賞(シルミ島)
2006 MBC演技大賞 大河史劇部門 特別賞(朱蒙(チュモン)


“韓流シネマフェスティバル 2009 ~約束~
★オフィシャルサイト
2009年11月21日~東京シネマート六本木

2009年12月19日~大阪シネマート心斎橋


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予告動画はこちら で。