しなやかに熱く戦え、箱根駅伝~「風が強く吹いている」 | ひょうたんからこまッ・Part2

しなやかに熱く戦え、箱根駅伝~「風が強く吹いている」

『風が強く吹いている』
(2009年・日本/133分)

公式サイト公式ブログ

10月22日(木)開場/18:30 開映/19:00

会場:東商ホール

【CyberBuzz】招待によるブロガー試写会にて鑑賞

~箱根駅伝。

若者たちの流す汗と涙と、栄光と挫折と。

毎年、数え切れないほどのドラマがそこに誕生する。

夢、努力、友情、信頼、・・・そして達成。

これは駅伝を舞台に誕生した奇跡のサクセス・ストーリー。

かつてないほど爽やかな感動が、ここにある。


※以下画像は全て招待元から使用許可・提供を得て掲載しています

<スタッフ>

監督:大森寿美男
原作:三浦しをん「風が強く吹いている」
音楽:千住明
脚本:大森寿美男

<キャスト>

ハイジ(清瀬灰二):小出恵介
カケル(蔵原走):林遣都
王子(柏崎茜):中村優一
ニコチャン(平田彰宏):川村陽介
ムサ(ムサ・カマラ):ダンテ・カーヴァー
神童(杉山高志): 橋本淳
ユキ(岩倉雪彦): 森廉
キング(坂口洋平):内野謙太
ジョータ(城太郎):斉藤慶太
ジョージ(城次郎):斉藤祥太
寛政大学の事務局員:高橋ひとみ
東京体育大学陸上部のコーチ:近藤芳正
カケルの高校時代の陸上部監督:寺脇康文
ハイジのかかりつけの医者:鈴木京香
勝田葉菜子:水沢エレナ
榊浩介:五十嵐隼士
藤岡一真:渡辺大
田崎源一郎:津川雅彦
神童の母:和久井映見


直木賞作家・三浦しをんの同名小説を映画化した青春ストーリー。

原作は箱根駅伝を舞台とした小説で、
2007年から海野そら太により『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて連載。
2008年9月号からは『月刊ヤングジャンプ』(集英社)に移り連載が続けられている。

また、箱根駅伝応援スペシャルとして

2007年12月24日から28日まで5日連続で文化放送にてラジオドラマ版が放送された。

さらに2009年1月からは、舞台公演も行なわれていた。

10月28日(水)に舞台版のDVDもリリース予定となっている。

※舞台公式サイト


非現実と現実の融合、
登場人物の心理と次第にシンクロする快感


素直に感動を共有出来る作品です。

若く純情だった時代から遥か遠いところまで歩いてきてしまった身としては、

あまりに爽やかな青年たちの友情に多少の居心地の悪さや、

青春スポコン物にありがちな真正直さに照れ臭さを感じるものの、

それでもやはり鑑賞し終わった後の爽快感は半端ではありませんでした。

お正月にはついチャンネルを箱根駅伝に合わせてしまう人なら、

特に駅伝シーンの臨場感に圧倒されるのではないでしょうか。

切磋琢磨してきた百戦錬磨の駅伝チームと共に、

弱小チームが箱根駅伝に出場!?

それもまるで思いつきのように??

誰が見ても無謀な挑戦です。
冒頭、荒唐無稽なハイジの挑戦に唯一反抗的だったカケル。

嫌味なほど冷静で初めのうちは少々好感度に欠けるカケル(笑)でしたが、

実は私のこの作品に対する感情も、導入部分ではカケルに近いものでした。

竹青荘の住民たちとカケルの間にある距離感。

ハイジの持つ夢とカケルの抱える現実との温度差。

それらは全て私のこの作品への距離感・温度差とシンクロしていました。

しかし、カケルがハイジの夢に寄り添うようになり、

竹青荘の面々と心がひとつになっていく道程で、

私の気持ちもどんどん彼らに同調していくことになるのです・・・。

部員たちのハイジに対する思いに心打たれ、
(普通だったら「嘘くさい!」などと、斜に構えてしまうところ)、

予選会の通過に心からほっとし、

(普通だったら「話が旨すぎるわ!」とツッコムところ)、

クライマックスの箱根駅伝のシーンでは、

最高に幸せな気持ちになることが出来ました。


リアリティを追求した表現の勝利

この映画の凄いところはメインの駅伝シーンを、

手抜き無く作っているところ。

公式サイトの説明によると駅伝コースの1区から10区までを忠実に再現するために

40箇所にカメラを設置し3万人のエキストラを配したそうです。

本番さながらのレース・シーン撮影のためには、

各担当局などの協力による交通規制なども必要だったと思いますが、

その成果は映画の中で見事に結実していました。

沿道の応援を含め本物と見まごうほどリアルに撮影されている

箱根への道のりには臨場感があり、

シーンの細部にまできちんと手をかけたことが

作品に見事なまでのリアリティを与えました。


作品の中に閉じ込められたオマージュ&人的財産


公開前なので細かいエピソードは書くことを控えますが、

「アルプスの少女ハイジと「明日のジョー」へのオマージュがたっぷりの作品です。

またカケル役を演じている林遣都君は、「ラブファイト」「ダイブ!!」でも

ボクシングの選手、ダイビングの選手など爽やかなスポーツ青年を演じていますが、

全ての参加作品を成功に導いているのが彼の持つ鍛え抜かれた肉体です。

彼の走る姿の見事なまでの美しさに圧倒され感動すら覚えましたが、

どのような役もこなしてしまう林運動能力の高さが、

改めて推し量られると同時に

今回は演技面でも著しい成長が見られ、

今後ますます彼の活躍が期待されるところです。

そして・・・個人的にはやっぱりあのきらきらした大きな瞳が好きです(*^^*)。

ハイジ役の小出恵介君は、オールマイティに何でもこなせる役者ですが、

今回は懐の大きなリーダー役を演じています。

彼の場合は表情に人柄の優しさを素直に投影出来るところが長所ですが、

その点でも特に今回のハイジと言う役柄にぴったりでした。

このふたりを中心に個性的な若手俳優を布陣したキャスティングも成功しています。


疲れ切った魂を元気にしてくれる映画

今、体調は良いですか?

心は疲れていませんか?

どちらかひとつでも、今ひとつ元気でない、

・・・と答えた方に特にお薦めしたい作品です。

何度も述べているように達成感・幸福感を今一番味わうことの出来る作品だと思います。

ハロウィンに向けて続々公開開始中の「ホラー」もいいけど、

疲れた時に鑑賞するにはやっぱりちょっとハード。

真底元気になりたい時には、ぜひこの作品を選んでください。

ストレートに努力し、ストレートに達成する心地よさ。

箱根駅伝を最後まで走り切る快感をスクリーンの前で共に味わえる作品です。
例え、私のようにかけっこが苦手な運動オンチでも(笑。

挫折と栄光が同時にやってくる過酷なレース。

あの道を走る者だけにしか見えない風景がきっとあるはず。

来年の駅伝でもまた新たなドラマが生まれるのでしょうね。

エンドロールでは意外な人物の名をキャストに発見しました。

友情出演でほんのワンシーンのみ登場する豪華な配役も楽しみです。

シーンごとにぜひ注意して見落としの無い様に探してみてください。


映画 『風が強く吹いている』 10月31日(土)全国ロードショー


風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)

SMILE(初回限定盤)(DVD付)