ミニ・レビュー:「アイアンマン」 「アメリカンギャングスター」「イーグルアイ」
「2008年鑑賞作品・ミニレビュー追記①」
ここ数ヶ月の間に鑑賞作品のレビューが大分溜まってきたので、
今まで鑑賞した作品の中でまだ感想を書いていないものを、
「ア行」から順番にミニ・レビューと言う形で書いて行こうかと思います。
まずは「アイアンマン」 「アメリカンギャングスター」「イーグルアイ」の
3作品のミニレビューからです。
年末に向け今後は極力時間を見つけて、
本レビューとミニレビューに取り組んでいきたいと思います。
(2008年・アメリカ)
10月3日(金)TOHOシネマズ六本木にて鑑賞
超能力が無くても、ヒーローにはなれる!
正体を秘密にしなくてもヒーローは続けられる!
<スタッフ>
監督: ジョン・ファヴロー
脚本: マーク・ファーガス、ホーク・オストビー、アート・マーカム、マット・ホロウェイ
<キャスト>
アンソニー・"トニー"・スターク: ロバート・ダウニー・Jr
ジェームズ・"ローディ"・ローズ: テレンス・ハワード
オバディア・"オビー"・ステイン: ジェフ・ブリッジス
ヴァージニア・"ペッパー"・ポッツ: グウィネス・パルトロー
インセン: ショーン・トーブ
ラザ: ファラン・タヒール
クリスティン・エヴァーハート: レスリー・ビブ
★★★★★
マーベルコミックが生み出したヒーロー「アイアンマン」の実写化。
アメリカの対テロ問題、軍事産業への比喩を散りばめながらも、
娯楽作品としての使命をきちんと果し、
スリリングでありながらも最後は「善」が勝つと言うお約束の結末に落ち着くので、
安心して観ていられるところが○。
ロバート・ダウニー・Jrが演じる鎧を纏った生身のヒーローも、
どことなくお洒落な感じの他のヒーローに比べ、
幾分泥臭さが感じられ身近なイメージである所にも好感が持てる。
トニー・スタークの研究室の「住人たち」も
見た目は「機械的」であっても、
「ユーモアのセンス」といい、「間の取り方の良さ」と言い、
限りなく人間的で愛らしささえ感じられて
私にとってはそこが一番のツボだった。
同じ夏に公開された「ダークナイト」とは対極の意味で
楽しませてくれたアメコミヒーローの実写作品である。
原作者であり本作の製作総指揮を手がけたスタン・リーが、
本人役でカメオ出演していたらしいが
予備知識無く鑑賞してしまったのでうっかり見逃してしまったのは残念。
これより以前に日本で公開された『インクレディブル・ハルク』には、
ロバート・ダウニー・Jrが本作と同じトニー・スターク役でカメオ出演していた。
また『アイアンマン』のラストには、
後に『アベンジャーズ』に登場する特殊組織「S.H.I.E.L.D.(シールド)」長官の
ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が登場。
これらは全てロバート・ダウニー・Jrが「アイアンマン」役で登場する言う
2011年7月15日全米公開予定の『The Avengers』への布石となっている。
本編ラストの記者会見では本人が、
「アイアンマン」であることをあっさり明かしてしまったことからも、
今までのヒーローとは一線を画した曲者であることがうかがえる。
『アメリカン・ギャングスター』American Gangster
(2007年・アメリカ/158分)
公開当時シネプレックス平塚にて鑑賞
1970年代、暗黒街でアメリカンドリームを掴んだ男。
家族の絆を重んじ冷静な判断と策略で巨万の富を築いた彼は、
マフィアさえも一目置く一匹狼だった。
恐喝・横領・・・司法の場すら汚職で腐敗にまみれていた時代。
一人の刑事が敢然とこの巨悪に立ち向かう。
底辺に生きる者たちが這い上がろうともがく社会で、
それぞれの信念に従いながらも、
両極の行き方を選んだ男と男の対決をハードに描く。
<スタッフ>
監督:リドリー・スコット
脚本:スティーヴン・ザイリアン
<キャスト>
フランク・ルーカス: デンゼル・ワシントン
リッチー・ロバー: ラッセル・クロウ
ヒューイ・ルーカス: キウェテル・イジョフォー
トルーポ: ジョシュ・ブローリン
ニッキー・バーンズ: キューバ・グッディング・Jr
ドミニク・カッターノ: アーマンド・アサンテ
ルー・トバック: テッド・レヴィン
エヴァ: ライマリ・ナダル
ローリー・ロバーツ: カーラ・グギノ
★★★★★
デンゼル・ワシントンが演じた麻薬王。
彼は麻薬を蔓延させ多くの人々を苦しみに陥れた。
その罪を思えばやはり犯罪者でしかない男である。
憎むべき存在の男なのにその罪をもうっかり忘れてしまうほど、
どこか彼に魅力を感じてしまったのは、
役を演じたデンゼルの魅力によるものなのか。
ここで描かれている麻薬王は紳士的とすら言って良いほどスマートだ。
彼を追い詰めるリッチーとは、刑事と犯罪者として対決することになるが、
各々信念を貫き通すこの二人には相通じるものすら感じられる。
しかしこの映画は、ただうかうかとは観る者を「犯罪の美学」には酔い知れさせない。
彼の犯した罪も、彼の家族たちが犯した過ちも、きっちりと描いている。
息子や夫の「右手」が犯した犯罪を彼自身の「左手」が隠そうとも、
母親や妻には「彼の手」に「犯罪の痕跡」が見て取れたはず。
結局は人の不幸の上に成り立つ「城」も「夢」も「幸せ」も脆く儚いものなのだから。
157分と言う尺の長さを感じないクウォリティの作品に仕上がっている。
特に二人の初対決のシーンは印象深い仕上がりとなっている。
ラストシーンの意味するものにも思いを巡らせた。
『イーグル・アイ』Eagle Eye
(2008年/アメリカ)
10月9日(木)ジャパンプレミアにて鑑賞
会場:東京国際フォーラムA
開場:17:30/開演:18:30
ゲスト:D・J・カルーソ監督、
特別ゲスト:三船美佳・高橋ジョージ夫妻ほか
身に覚えの無い預金の増額。
そこから始まり、次々と身辺に張り巡らされる罠。
全アメリカ合衆国の住民から、
一組の男女が「選出」され「起動」させられた。
否応無しに二人の人生を「謀略」に巻き込んだ、
「声」の正体は「誰」か?
スピルバーグが長年温めてきた物語が、
今劇場で幕を開ける。
<スタッフ>
監督: D・J・カルーソー
製作総指揮: スティーヴン・スピルバーグ
製作: スティーヴン・スピルバーグ他
脚本: ダン・マクダーモット
<キャスト>
ジェリー・ショー: シャイア・ラブーフ
レイチェル・ホロマン: ミシェル・モナハン
ゾーイ・ペレス捜査官:ロザリオ・ドーソン
トーマス・モーガン: ビリー・ボブ・ソーントン
トビー・グラント: イーサン・エンブリー
アンソニー・マッキー:スコット・ボウマン少佐
アメリカ合衆国国防長官:マイケル・チクリス
★★★
評価が甘い私は十分楽しめた作品だが、どうやら周囲の評判は芳しくない。
そう言われてみれば作中の表現と似たようなシーンをいくつか他の映画でも観た。
最も印象として近いのが運悪く日本での公開が近かった『ウォンテッド』。
内容は違うが作品自体の印象がとても似通っている気がする。
そして作品としては『ウォンテッド』の方が、
最後まで意外性を感じさせてくれたし、面白かった。
スピルバーグが構想を抱いた当時に作っていれば、
このように既視感のある作品にはならなかったのかも知れない。
この作品で目立ったのは、主演の シャイア・ラブーフの、役者としての成長。
私が初めて彼を知ったのは『コンスタンティン』。
キアヌ演じる探偵の助手役で初々しい演技を披露した彼を、
以来ずっと注目してきた。
『トランスフォーマー』や『クリスタル・スカル』の時の彼は、
まだ若い役者の持つオーラだけを感じさせていた。
しかし今回『イーグルアイ』では、
役者としてすっかり「成人した」姿を私に見せてくれた。
私生活ではどうやら問題も多い彼のようだが、
スピルバーグが彼を好んで起用している理由のひとつが
理解できたような気がしている。
エキゾチックな顔立ちは、特に横顔のたたずまいが美しく感じられる。
将来が楽しみな一人なので、
これ以上「やんちゃ」をして将来を棒に振ることの無い様密かに願っている・・・(笑