「行くぞ~~!」

冷たい風が吹き抜ける中、
木の幹をけり出し、滑車がスタート。
頭上をビューーンと音を立てて過ぎたか
と思うと、はるか彼方で見事な着地。
おおぉーー!と、歓声が上がりました。

image


大きな木、ふかふか落ち葉、棒きれ
切り株、石ころ、水、泥、友だち


風が吹いても、寒くても、
そんなの関係なく遊びたくなる要素が
こちらのプレーパークにはたっぷり。


「子どもの日常=遊び、ですから」


と、遠くからにこやかに見守るのは
「にしのみや遊び場つくろう会」代表の

米山清美さん。14年前「自分の責任で

自由に遊ぶ」をモットーに、西宮で

このプレーパークの運営を始めました。


image


私が訪れた1月半ば、地元の子たちや、

プレーリーダーと歓声を上げていたのは

岩手県野田村から兵庫に遊びにきていた

12人の子どもたち。


「そんなに濡らしてどうすんの?」と
泥んこになった息子に飽きれながらも

「思い切り遊んでいる姿を見るのは、

すごくうれしいです。地元は、広場が

流されて、遊び場所がないんですよね」

と、お母さんに笑顔が浮かびました。


image



「楽しいことを一つでもしなければ」
米山さんがそう感じたのは、19年前、

阪神・淡路大震災の時のことでした。


子どもの支援は、二の次、三の次。
大人の空気を察し我慢する子どもたち。
子どものストレスが限界だと感じる中、
全国各地からたくさん申し出があった
無料招待キャンプに、米山さんは子ども

たちを連れて参加しました。それが、

本当にうれしかった、と振り返ります。


実は、その時のご縁がつながったのが、

岩手県野田村でした。東日本大震災から

程なく、野田村でプレーパークをする

ことになり、以降、米山さんは何度も

足を運んでいます。


米山さんのお話には、子どもたちの

やんちゃなエピソードもたくさん登場。

でも一緒の時間がうれしくて楽しくて!

それは話の端々から伝わってきます。


「だから支援なんて思ってないんです」

と米山さん。


「交流させてもらっている、こちらが
癒されているんです。『遠いところから

ありがとう』と言われると『ごめんね』

って返す。そんなこと言わせてごめんね

なんです。私が楽しみなんですから」


一方、野田村のお母さんからも、

「西宮で沢山の人たちと交流できた。

遠くてもつながっているんだなぁ、と

うれしく思いました」との言葉が。


“人のつながりにありがとう”

そんな想いで皆さんが結ばれている

私はそんな風に感じました。


{FF0876BD-51F3-4665-B4E9-88255133F011:01}


そして米山さんは、少しだけ願います。


「人のぬくもり、やさしさ。思い出。
子どもたちが大人になった時、また

何かを少しでも未来につないでいって

もらえたらうれしいなぁと思います」


子どもたちがまた、西宮に、兵庫県に

遊びに来てくれる日を心待ちにしています。


米田裕美


兵庫県広報専門員