夫の彫刻家は60年妻の画家は50年

名古屋に住むある芸術家夫婦それぞれの足跡を辿る、
展覧会を観てきました。

 


会場となったのは、古川美術館とその分館の為三郎記念館
これまで名古屋には幾度となく足を運んでいますが、
この私立美術館を訪れるのは、今回がはじめてでした。
 

 

古川美術館で開催されたいたのが「山本眞輔 彫刻60年の軌跡」。

 

 

山本眞輔さんは、日本藝術院会員でもある、日本を代表する彫刻家で
日展日彫展などを舞台に活躍されています。
私は仕事でこの先生にご協力いただくことも多く、
この展覧会も内覧会にもご招待いただいていたのですが、
残念ながら出席することが叶いませんでした。
会期終了直前になって、やっと展覧会を観に行くことができたぐらいです。
これだけまとまって作品を(特に大作を)拝見できる機会は初めてだったため、
あらためて山本さんの素晴らしさを再認識できました。

数年前に取材のためにご自宅を訪問したことがあります。
その時にはご本人はもとより、奥様にも親切に対応していただきました。
ただ、その奥様があんなすばらし絵を描いていらっしゃるとは露知らず・・・
今回、為三郎記念館で開かれた「山本澄江の世界 ー 祈りの道」で、
初めてその幻想的な世界に触れることができ、大きな感銘を受けました。

 

 

実に細かなペン画とアクリル絵具で植物など自然を描いた絵の融合。
現実と非現実がないまぜになり、独特の世界を生み出していました。
1988年の文部大臣奨励賞など「日本の自然を描く展」で入賞を重ねておられており、

その実力は広く認められているようです。
(残念ながら私は知りませんでしたが)

山本澄江さんの展覧会場となった為三郎記念館は、
古川美術館の初代館長である古川為三郎氏の旧宅を改装した施設。

 

 

数寄屋造りの庭園と美しい日本庭園が見事で、
澄江さんの作品を展示するにはぴったりの空間だと思いました。
ちなみに、記念館内の太郎庵という茶室の襖絵を描いたのは、
お二人のお嬢様で日本画家の山本眞希さん。
ここでその作品を紹介するKろとはできませんが、
襖には、素晴らしい椿の花が描かれていました。
まさに芸術家一家という、素晴らしい才能に恵まれた3人です。
(もちろん、才能を活かす努力も人一倍されたのだと思います)

さて、美術館を出て、名古屋市の中心部・栄をぶらぶらしていると、
何となく気になる屋外彫刻に出会いました。
場所は、名古屋三越 栄店の入口。

 

 

共生'97』と題されたこの作品には、作者の名前がありませんでしたが、
どう見ても山本眞輔さんの手による彫刻でしょう。
以前他の場所でも山本作品を観たことがありますが、
山本眞輔さんの彫刻は街のあちらこちらに展示(設置)されており、
普段からそこを行き交う人たちに芸術の素晴らしさを伝えているようです。