アイスクリーム 曖昧さ回避【内上】原材料 乳製品 糖分 油脂 添加物  安定剤 乳化剤 その他

 

製法

アイスクリームメーカー

アイスクリームの製造は原料の混合、乳化、殺菌、冷却、エージング、凍結、硬化からなる。

原料の混合
原料を混合し完全に溶解しアイスクリームミックスとする。60℃前後に加温して行なわれる。
乳化
アイスクリームミックス中の油滴を細かく粉砕して均一な状態にする。通常2回乳化は行なわれる。1回目の乳化は高圧で行ない、油滴の直径を2μm以下まで細かくする。この時点ではいくつかの油滴がくっつきあっている。2回目の乳化は低圧で行ない、この油滴をバラバラにして分散させる。
殺菌
アイスクリームミックス中の菌を殺菌するほか、乳原料中に含まれる酵素を失活させる働きもある。酵素の活性が残存していると油脂が分解されて臭いが出てくるためである。工業的にはタンクで行なうバッチ式の殺菌では冷却に時間がかかり品質の劣化が起こりやすいため、連続流通式の高温瞬間殺菌法が使用されている。
冷却・エージング
殺菌後ただちにアイスクリームミックスは冷蔵され、そのまましばらく貯蔵される。貯蔵中に乳化剤が油滴の表面に充分に吸着したり、油滴中の脂肪が固化したりする。これは凍結時の空気の保持などに影響する。
凍結
アイスクリームミックスと空気をフリーザーに導入し-2〜-9℃程度の温度まで急速に冷却し凍結させる。激しく撹拌しながら急速に凍結することによって空気がアイスクリーム中に気泡として取り込まれたまま凍結し、アイスクリーム特有の食感が得られる。この取り込まれた空気の体積のアイスクリームミックスの体積に対する比率をオーバーランという。適当なオーバーランはアイスクリームミックスの組成により変わるが、低すぎると硬く冷たすぎる食感となり、多すぎるとパサパサした食感となる。凍結速度が速いほど、氷の結晶が細かくなり滑らかな食感のアイスクリームができる。この凍結でアイスクリーム中の水分の50-80%程度が凍結した状態になる。なお、ソフトクリームはこの時点でアイスクリームを取り出し盛り付けたものである。
硬化
フリーザーから出てきたアイスクリームを容器に充填して、そのまま-20℃以下まで冷却して、残っている水分の大部分も凍結させる。これはフリーザーの凍結温度そのままでは氷の結晶の融解と成長によって徐々に氷の結晶が合体してザラザラした食感になったり、気泡が合体して不均一になったりしてしまうためである。

なお、一連の工程を液体窒素を用いて短時間で調理する方法もある[6]

規格

日本

日本におけるアイスクリーム類と氷菓は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)及び「アイスクリーム類及び氷菓の表示に関する公正競争規約」[7]によって分類されている。なお、乳等省令において乳製品に分類されるのは、下記のアイスクリーム類である。

日本におけるアイスクリーム類と氷菓の分類
分類 定義  
アイスクリーム類 アイスクリーム 重量百分率で乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上のもの 濃縮乳を使用したり、生乳をベースに生クリームを混合させたり、「アイスクリーム」の分類に合わせるため乳脂肪を調節する場合もある。
アイスミルク 重量百分率で乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上のもの  
ラクトアイス 重量百分率で乳固形分3.0%以上のもの ラクトとはラテン語で「乳」を意味する。乳固形分がアイスミルクより少なく、アイスクリームの風味を出すため植物系油脂を混合するなどして脂肪分を補った製品の場合、カロリーがアイスクリームやアイスミルクより高い場合もある。
氷菓 糖液若しくはこれに他食品を混和した液体を凍結したもの又は食用氷を粉砕し、これに糖液若しくは他食品を混和し再凍結したもので、凍結状のまま食用に供するもの かき氷など。アイスクリーム類との区別は成分の比率によるため、シャーベットアイスキャンディーなどで原材料として乳製品を使用していても、比率によっては氷菓に分類される。

※いずれも食品衛生法に基づく規格に適合しなければならないとされている。

なお、長年の研究から、アイスクリームの温度が氷点下25℃以下であれば、元の状態がほとんど変化しないことがわかっており、日本アイスクリーム協会では工場冷凍庫や営業冷凍庫において長期間アイスクリームを保管する場合は氷点下25℃以下、小売店に配送して家庭で保存するまでは最低限氷点下18℃以下で保管することを推奨している[8]。氷点下18℃以下で保存されることが前提であり、適切な温度で保存されれば品質変化は極めてわずかだが、適切に温度管理されなければ変質し元に戻らないことから、保存期間よりも温度管理が重要である。そのため、日本では賞味期限消費期限の表示義務はない[9]

米国

米国食品医薬品局による規則ではアイスクリームは乳固形分20%以上、乳脂肪分10%以上を含むものとされている。乳脂肪6%以上、タンパク質2.7%以上のものはメロリン(Mellorine)と称される。以前はアイスクリームよりも乳固形分、乳脂肪分が少ない分類としてアイスミルクがあったが、現在は廃止されている。

商品・販売形態