世界でいちばん放射線量の高い場所10 ― 汚染惑星、地球を知ろう【PART2】 【前半】【内上】
■5 シベリアの化学コンビナート、ロシア/Siberian Chemical Combine, Russia
野外に晒された六フッ化ウランを格納した金属容器 秘密核都市トムスク7で
なにもマヤークだけが、ロシアで唯一汚染された核施設ではない。すでに40年以上にわたって、広大なシベリアの大地は、膨大量の核廃棄物を貯蔵する、白銀のゴミ捨て場と化している。
液体廃棄物の多くは、覆(おお)いのプールに格納されており、12万5000トンを超える固形廃棄物もまた決して安全とはいえない容器の中に保管されている。さらに地下貯蔵庫にはつねに地下水が進入する不安がある。
これまでも風雨が野生動物と周辺地域に汚染を広めてきたが、さまざまな小規模の事故や爆発がその度にプルトニウムを誘い出し、放射線の危険きわまりない拡散につながっている。
北極海に浮かぶランゲル島 投棄された廃棄物の間を歩くシロクマ
たとえば、世界的に知られる環境NGO、ノルウェーのベロナ・ファウンデーション(Bellona Foundation)は2012年、旧ソ連が北極海の約1400平方マイル(約3600平方キロメートル)に渡る海域に、放射性廃棄物の入った約17,000本のバレルを投棄していた事実を発表した。
同時に、核廃棄物を積載した船舶19隻、廃棄した原子炉14基(うち5基には使用済み核燃料が入ったまま)、放射能にまみれた重機735台、横腹に穴をあけたK-27原子力潜水艦(核燃料が入った原子炉2基が搭載されたまま)も海中に沈められてきたという。このうち原子炉はいつ臨界に達してもおかしくはない。
下記の、理不尽な放射線障害に苦しむ人々と、子どもたちの未来を憂える動画は、海洋と同じずさんな投棄が、白樺林と沼沢地の無限の連なりのいたるところで行われてきた空恐ろしい事実をわたしたちに突きつける。
(文・構成=石川翠)
動画は、YouTubeより
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※PART3は明日夜配信予定