ナチス製UFOはこうして生まれた!! 天才発明家・シャウベルガーの知られざる人生【中半】

 

2015.03.30

 

 

■戦後、全てを奪われた天才発明

 戦後の1947年、ザルツブルクに移ったシャウベルガーは、リパルシン装置を応用した水の浄化装置の研究を始め、1951年には、息子ヴァルターとともに自然保護団体「グリーン・フロント」を設立、運営に携わった。

 そのシャウベルガーに、アメリカの企業体ゲルクシャイマー・コンソーシアムが接触したのは、1958年のことだった。ゲルクシャイマーは、新しい発電技術開発のために、シャウベルガーの理論を利用しようとしたのだ。こうして父子はアメリカへと渡る。

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画像は「YouTube」より

 彼らの実験はテキサス州の人目につかない砂漠地帯の一角で行われるはずだったが、やがてゲルクシャイマーと現場監督との意見が対立し、シャウベルガー本人も、自分の研究が原子爆弾に利用されるのではないかと疑うようになる。さらにシャウベルガーの健康状態も悪化していた。彼は一刻も早く帰国することを望んだものの、まだ契約期間が残っている。最終的にシャウベルガー父子は、彼らの文書や設計図、モデル、あらゆる将来のアイデアや発明に対する権利を実質的にゲルクシャイマーに委託するという趣旨の契約を交わすことで、やっと帰国を認められた。そして帰国から5日後、シャウベルガーは死亡した。死の直前には、「彼らは私からすべてを奪っていった。すべてだ。自分自身さえも私は所有していないのだから」と繰り返していたという。


 シャウベルガーの理論は、独自の哲学的な自然観に基づいたものと言えるが、ヨーロッパには現在も、彼の「リパルシン装置」や、その基礎となった「内破」理論を研究する者がいる。また、謙虚な姿勢で自然に学び、自然界の事物から知識を得ようとしたシャウベルガーは、現代のエコロジーやバイオミミックリー(生物模倣工学)の元祖と言える存在だったのかも知れない。

 


参考:アリック・バーソロミュー『自然は脈動する』日本教文社
   オロフ・アレクサンダーソン『奇跡の水』ヒカルランド
   「一般社団法人潜在科学研究所