多元宇宙論 曖昧さ回避「マルチバース」Ⅳ【後半】

 
 

批判[編集]

非科学的主張[編集]

これらの理論の多くは、実験による検証可能性を欠いているという批判がある。そして、反証不可能である強固な物理的証拠を欠いており、確証または反証するための科学的調査の方法論の外にある。多くの多元宇宙理論の主張が実験的証拠や検証可能性を欠いている理由は、他の宇宙が異なる時空の枠組みにあると仮定されるためである。そのため原理的にそれらは観測することができないはずである。

間接的証拠[編集]

現代科学の論理的な基礎は仮説演繹法の論理である。これは、理論による未観測の実在を提案することを認めている。もし観測可能な結果を説明するのに役立つのであれば、(将来の観測の)予測または(過去に起こった観測の)レトロダクション英語版)に基づいた理論を用いることができる[27]

オッカムの剃刀[編集]

コルモゴロフ複雑性」も参照

われわれの宇宙を説明するだけのために未観測の宇宙が無限に存在するという仮説を立てることは、オッカムの剃刀に反しているように見えるという批判がある[28][29]

テグマークの回答:

懐疑主義者は、これらの観測されていない世界をそれぞれ特定する必要があるあらゆる情報について心配する。しかし、全体の集合はその要素の一つよりも実際は非常に単純である。この原理はアルゴリズム情報理論の文脈の観念を用いてより形式的に語ることができる。ある数に含まれるアルゴリズム情報量は、大まかに言って、その数を出力として生成する最も短いコンピュータプログラムの長さである。例えば、すべての整数集合を考える。このとき、すべての集合とただ一つの数ではどちらがより単純だろうか。素朴にも、あなたは単一の数がより単純だと考えるだろう。しかし、全集合は非常に短いコンピュータプログラムによって生成することができる反面、単一の数は非常に長いプログラムを必要とする。それゆえ、全集合は実質より単純である。同様に、アインシュタイン方程式のすべての解の集合は特定の解よりもより単純である。前者は少数の方程式で記述されるが、後者はある超曲面上の膨大な初期データの詳細情報を必要とする。この教えるところは、集合の中の特定の要素に注意を絞ると複雑性は増すため、すべての要素の全体性の中に本来備わっている対称性および単純性が失われるということである。この意味で、より高次のレベルの多元宇宙はより単純である。われわれの宇宙からレベル I 多元宇宙に進むと、特定の初期条件を必要としなくなる。レベルII の段階に上がると特定の物理定数を必要としなくなり、レベル IV 多元宇宙ではあらゆる特定の値を必要としなくなる。

4つの多元宇宙レベルすべての一般的な特徴は、最も単純でほぼ間違いなく最も洗練された理論は当初から平行宇宙を含むということである。これらの宇宙の存在を否定するには、実験的に支持されていない過程およびアドホックな仮定によって理論を複雑化する必要がある。例えば、有限空間英語版)、波動関数の崩壊および存在論的非対称性[30]などの仮定が必要となる。それゆえ、われわれの判断は、より無駄が多く洗練されていないとわれわれが考える多くの世界または多くの言葉へと到達する。おそらく、われわれの宇宙の超自然的な性質に徐々に慣れていき、その奇妙さがその魅力の一部分であることに気付くだろう[12]

哲学および論理学における多元宇宙仮説