蕎麦 Ⅲ【序】食べ方 もり蕎麦・ざる蕎麦 かけ蕎 

 

栄養・成分

実際の栄養価は、作物としてのソバが栽培された土壌、収穫時期、品種など様々な要因で変動する。

蕎麦(乾麺)の栄養価の代表値 [表示]

蕎麦は、ビタミンB1を豊富に含み、脚気などのビタミンB1欠乏症の予防に効果がある。江戸中期から白米による江戸わずらい(脚気)が流行し出し、その頃から江戸で蕎麦が流行した[10]蕎麦#東京も参照のこと)。蕎麦粉(全層粉)の段階におけるタンパク質含有量は、ダイズに比較すればそれほど多くはないものの、その蛋白質は1985年のFAO/WHO/UNU必須アミノ酸基準値でアミノ酸スコアが100点となっており、穀物としてバランスのよいアミノ酸組成を有している。ただし、蕎麦粉に小麦粉を混ぜて麺を作ると、リシンが乏しい小麦粉のアミノ酸組成の影響を受けてリシンを第一制限アミノ酸として蕎麦麺のアミノ酸スコアは低下することになる。

蕎麦(蕎麦粉)に含まれる特徴的な機能性成分としてルチンがあげられる。蕎麦に含まれるルチンは、毛細血管強化[11]、高血圧予防[12]、酸化防止[13][14]などの生理活性を有する[15]

自ら蕎麦を打ち、蕎麦を食べる機会の多い蕎麦センター職員の血圧は、蕎麦を常食とするネパールの山岳部族と同様に低かった。この蕎麦の効用は、その中に含まれる多量のカリウムが体内よりナトリウムを排泄させることによる[16][17]

蕎麦の窒素1gあたりの必須アミノ酸比較
アミノ酸 穀類/そば/そば粉/全層粉[18] 穀類/そば/そば/生[19] 穀類/そば/干しそば/乾[20] 1985年基準値 (mg) (参考)1973年基準値 (mg)
イソロイシン 230 210 210 180 250
ロイシン 410 410 410 410 440
リジン 370 190 180 360 340
含硫アミノ酸(メチオニン+システイン 280 220 220 160 220
芳香族アミノ酸(フェニルアラニン+チロシン 440 460 470 390 380
トレオニン 240 180 180 210 250
トリプトファン 100 78 76 70 60
バリン 320 260 260 220 310
ヒスチジン 170 140 140 120 -

健康ブーム隆盛を極める現在でこそヘルシーな粗食とみなされているが、伝統的には『本草綱目』巻22に「腸胃を実(み)たし、気力を益し、精神を続(つ)なぎ、能く五臓の滓穢を煉る」とあるように、むしろ高い栄養価による滋養強壮効果が便宜とされていた。

そばアレルギー

蕎麦はアレルギー物質を含む食品として食品衛生法施行規則により指定されており、特定原材料を含む旨の表示が義務付けられている。そば・うどんを併売する店では、同じ釜でそば・うどんを茹でる場合も多く、アレルギー物質が混入する可能性があり、注意が必要である。1988年には、給食でそば粉を使用した蕎麦を食べた事が原因で発作をおこし、吐瀉物が気管に入って小学生が窒息死した事故があった[21]

詳細は「ソバ#アレルギー」を参照

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