軍隊の階級
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軍隊の階級(ぐんたいのかいきゅう)は、軍隊における階級を一覧にしたものである。軍隊の階級とは、軍事組織における上下関係と指揮系統の格付け制度である。
軍事組織において、階級の使用は全世界で行われている。例外としては、後述するように社会主義国の軍隊において一時階級制度が廃止されることもあったが、後に復活している。
ヨーロッパ諸国の陸海軍においては、職名が階級化していったという歴史的経緯から、軍種によって階級名が大きく異なる。
旧日本軍の階級は、明治3年太政官布達第604号を以て兵部省に設けられた、律令制下の四等官に倣った陸海軍大将から陸海軍權曹長までの11等級を起源とする。これらは明治6年太政官布達第154号による官等表改正で軍人の階級として引き続き用いられ、西欧近代軍の階級を和訳する際にも当てはめられた。
旧日本陸海軍では、階級を上がることを進級といい、階級が下がることを降等という。一方、自衛隊では昇任及び降任といい、予備自衛官等の階級が上がる場合昇進という。
目次
社会主義国における階級制度の廃止
ソビエト労農赤軍(1918~1935年)、中国人民解放軍(1965~1988年)、及びアルバニア軍(1966~1991年)などの社会主義国の軍隊では、社会主義の理念から、自国の軍隊を帝国主義諸国の軍隊と区別するために、軍隊の階級制度を廃止した。ただし、いずれの場合も、よく誤解されるように軍隊の職制(司令官・師団長など)を廃止したわけではなく、指揮命令系統自体は存在した。
これらの諸国では後に階級制度は復活し、現在はほとんどの社会主義国の軍隊に階級制度が存在している。しかし、朝鮮人民軍のように「階級」ではなく「軍事称号」という名称を使っている例もある。厳密にいえば、赤軍の階級制度の「廃止」の場合も、「将軍」(ロシア語: генера́л)を「司令官」(ロシア語: команди́р)とするような言い換えにすぎなかった。
現代の階級
ほとんどの現代の軍隊では階級を大きく3種類に区別している。それらはジュネーヴ諸条約で、いくぶん曖昧な区分「士官」、「下士官」及び「兵」として区別されている。
以下に個別の詳細を示す。
士官・将校
士官、ないし将校は、職権の保持によって、他の軍人から区別される。士官は指導者や指揮権保持者として訓練される。
この2つの語はほぼ同義であるが、厳密には異なる場合もある。詳細はそれぞれの記事参照。
士官・将校はさらに「将官」、「佐官」、「尉官」の3段階に分けられる。
将官
長期間にわたり単独で作戦を実施することが期待される典型的な部隊や編制(旅団以上の部隊や艦隊・戦隊等)を指揮する士官が将官である。
将官の階級は、典型的には大将、中将、少将、准将が含まれる。
いくつかの軍では、元帥のように、別の肩書きを付与された上記の例より上位の階級が一つ以上ある場合がある。
それらの階級はしばしば、ドイツやカナダのように廃止されたり、あるいはイギリスやアメリカ合衆国のように戦時や名誉昇任に制限されたりすることがある。
いくつかの肩書きは純粋には階級ではなく、将軍の職務や、名誉的な肩書きである。実例をあげると、フランス陸軍では、陸軍大将(軍の将軍:Général d'armée)及び、陸軍中将(軍団の将軍:Général de corps d'armée)は陸軍少将(師団の将軍:Général de division)の職務である。またフランス元帥(Maréchal de France)は最高司令部の官職に由来するが、フランス元帥に授与された実務上の指揮権はしばしば失われた。
佐官
佐官は、単独で短期間の作戦を実施できることが期待される典型的な部隊(大隊及び連隊、大型軍艦、飛行戦隊)を指揮する上級士官である。佐官は一般的には参謀の職務もつとめる。
典型的な佐官の階級には大佐、中佐、少佐が含まれる。多くのイギリス連邦の国では、最上級の佐官(Brigadier)が旅団長 をつとめる。准将(Brigadier General)がその職務をつとめる国もある。
いくつかの国の海軍では、代将(Commodore)の階級も使用される。
日本の律令官制では、「佐(サ/スケ)」は、「大将」(「督」に相当)の下位、「中将・少将」と同等の武官であったため(詳細は近衛府を参照)、平均すると軍全体を指揮する「将」の下位であるということから、この字が充てられたのであろうと思われる。
しかしながら、「佐」とは文字通り「補佐」の意味である。漢字文化圏では、参謀や副官、副指揮官ならともかく、部隊指揮官の階級(とくに前近代のヨーロッパでは傭兵隊長と連隊長はほぼ同義であった)としては違和感がある。そのため中国語圏では、「佐」ではなくて「校」が用いられる。事実上は日本軍の下位組織であった満州国軍においても、中国式の訳語が踏襲された。古代中国の前漢では、将軍の下位の部隊長クラスの官位として「校尉」があり、ここから取られている。また、上記の「将校」の語も、将官と校官を総称した意味である。
指揮官クラスの人材を指す「将領」という漢語があるためか、韓国軍では、「あずかる」という意味を持つ「領」の字が充てられている。
尉官
尉官の階級は3つか4つの最下級士官の階級である。配下の部隊は、単独で長時間の作戦を実施することを一般的には期待されていない。いくつかの部隊では尉官も参謀の役割をつとめる。
典型的な尉官の階級には大尉、中尉、少尉が含まれる。イギリス海軍のように二階級式を取っている場合もある。
日本の律令官制では、大尉・少尉は、佐より下位の官位であったために、この字が充てられた。
古代中国の秦・前漢においては、太尉は軍事を担当する官位の最高位であった。その後の中国では太尉という官職は消滅し、現代中国においても尉官はこの字が充てられている。
准士官
准士官はそれぞれの国や軍種で扱われ方が少し異なる混合した階級である。准士官は、精鋭の上級下士官であったり、士官と下士官の間の完全に分離された格付けであったりする、通常は専門職の階級である。