技術的特異点(2045年問題から転送)2015人間1Ⅰ
レイ・カーツワイル[編集]
現在用いられている意味において、この用語を提唱したレイ・カーツワイルによれば、「100兆の極端に遅い結合(シナプス)しかない人間の脳の限界を、人間と機械が統合された文明によって超越する」瞬間の事である[6]。同じくレイ・カーツワイルが提唱する、進化の6つのエポックにおけるエポック5とも同義である[6]。電子計算機の発明以前から同様の主張は行われていたが、2005年にレイ・カーツワイルが発表した、The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology (和書:ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき)において、宇宙の歴史,生命の歴史,科学技術の歴史に基づく、多角的で長大な論証が行われ、初めて明確化された。未来研究においては、人類により発明された科学技術の歴史から推測され得る、未来モデルの適用限界点と定義されている。
一般人からは未だに誤解されている事が多いが、2045年は「汎用人工知能(AGI)が人類史上初めて出現する年」あるいは「汎用人工知能(AGI)が人類史上初めて人間よりも賢くなる年」ではない。レイ・カーツワイルは、そのような出来事は2029年頃に起きると予測している。レイ・カーツワイルは、2045年頃には、1000ドルのコンピューターの演算能力がおよそ10ペタFLOPSの人間の脳の100億倍にもなり、技術的特異点に至る知能の土台が十分に生まれているだろうと予測しており、この時期に人間の能力と社会が根底から覆り変容すると予想している[7]。レイ・カーツワイルは、人類の進化として最も理想的な形で技術的特異点を迎える場合、GNR革命の進行により、人類の知性が機械の知性と完全に融合し、人類がポスト・ヒューマンに進化すると予測している。
【孫正義2017~18コンピューターは人間を追いつき追い越す!】数年前ロボット発売時
その後、レイ・カーツワイルは、特異点論者として2017年3月10日から2017年3月19日にかけて米国テキサス州で開催されたSXSW Conferenceに登壇した。その議論の中で、技術開発の進捗が2005年当時の予測より早くなっているとして、技術的特異点の到来が2029年に早まるとの見方を示した。[8]その際、人間の論理的思考を司る大脳新皮質を人為的に拡張することで、人類がポスト・ヒューマンに進化するというシナリオを提示している。
2016年頃からは、IoTや人工知能が本格的に実用化され始めたため、世界中の識者の間で議論が活発化している。技術的特異点が実際に到来するかどうかは別としても、レイ・カーツワイルが述べている収穫加速の法則自体は実際に確認され続けている。
ヴァーナー・ヴィンジ