景気循環 Ⅴ【前半】40月在庫キチン10年設備ジュグラー20年建築ク…ズネッツ50年一生コンドラチェフ

 

景気循環の影響

短期的な経済変動は、支出面の動きで決まるとされている[8]

賃金

一般にインフレや景気と賃金がスライドする労働者(会社員など)に比べ、賃金硬直性の強い労働者(公務員など)は、好景気時は相対的に貧しくなる。一方、景気の悪い時期においては、公務員などは会社員などと比べると賃金が下がりづらい為、相対的に豊かになる。

雇用

一般的に、景気が良くなっているときは企業は人を増やそうとして企業などに雇われる雇用者は増加する。一方、景気が悪くなっているときは企業はコスト削減のために人件費を減らそうとして雇用を抑制、または雇用者を解雇する。なお、雇用関係の指標は景気に対して遅行する場合が多い。詳しくは失業を参照。

金融機関

不況になると、企業の資金需要は減退し、貸出金の増加テンポが鈍くなり、やがて減少に転じる。不景気が長期化すると不良債権が増えて貸倒引当金を積み増すため、利益が圧迫される。好景気になると、企業は、金融機関から資金を借りてでも資金調達し、生産設備等の設備投資にあるいは運転資金に充てようとするため、資金需要が旺盛となり、金融機関の貸出金残高も増加する。やがて業績不振の企業が立ち直ると共に不良債権が減り引当金が必要なくなり、これを取り崩すため、利益が増大する。

同様に、個人についても好況が続くと、将来的にも雇用不安が少なくなり、賃金が確保できる予想が成り立ち、地価や住宅価格の上昇が予想されることから、今のうちに住宅ローンを借りてでも、住宅を手に入れようとする人が増えるので、住宅ローンの取り扱いがふえて、金融機関のローン残高も増える。特に、景気の上昇が鮮明になり、ローン金利の上昇が見込まれるときには駆け込み的に申し込みが増える。個人についても、住宅ローン金利の変動については敏感になっている。

金利についても、景気循環とともに変動するがこれについては、当該項目を参照のこと。

政府・自治体

好景気になると税収が増え財政収支が改善する。不景気になると、失業手当公共投資が必要になる一方で税収が減少し財政収支が悪化する。

景気の表現の仕方

景気には、四局面の内で、谷や山が著しくなる場合などがあり、いろいろな表現のされ方をする。

ユーフォリア
陶酔的熱狂という意味で、設備投資や資産投機が盛り上がる理想的な状態。物価上昇率と失業率が共に低下する。資産高騰の反動が起きるリスクもあるが、状況の最中においては「理想的」に見える。1980年代前半の世界経済は、オイルショック(第1次・第2次石油危機)後の原油価格低下の中でインフレなき高成長を達成した。
恐慌
設備投資後退に端を発する深刻な不景気。資産価格の低下などを招き、金融危機を併発するとより事態は深刻化する。物価が低落し、失業率も10%を超えるなどして不況感が蔓延する。デフレスパイラルが発生する場合もある。19世紀においては定期的に起きていた。
記録に残る中で史上最も深刻だった恐慌世界恐慌である。その後、第二次世界大戦後は管理された経済政策が普及し、発生の頻度は低下した。しかし、1990年代以後、ユーロダラーの動きに合わせて新興諸国で金融危機と恐慌のような状況が併発している。
ソフトパッチ
2004年後半の世界経済における一時的調整で使われた言葉。景気後退までに至らず停滞状態で調整が完了する。緩やかな成長鈍化の状態。
スタグフレーション
物価上昇と、景気後退が併存する状態。詳細はスタグフレーションにて。
ジョブレスリカバリー
景気が回復し始めても、雇用が回復しない状況。1990年代初めのアメリカ経済の状況がこう呼ばれた。
ジョブロスリカバリー
景気が回復し始めても雇用が回復せず、雇用が減少する状況。2000年代初めのアメリカ経済の状況がこう呼ばれた。
ソフトランディング
好景気の最終段階において、調整局面へ入る際の減速や下降が緩やかなこと。
ハードランディング
好景気の最終段階において、調整局面へ入る際の減速や下降が激しいこと。

内閣府による定義