ヌードルハラスメント
ヌードルハラスメント(noodle harassment)とは、日本人に多く見られる「麺類を食べるときに、麺をすすってズルズル音を立てる」食べ方が、外国人に不快感を与えるとして慎むべきであるとする主張を示す和製英語[1]。「ヌーハラ」と略される[1]。
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概要
日本国外では通常、食事中に音を立てて食べる行為は「テーブルマナー違反」とみなされることが多い。「麺を食べる際に音を立ててすする」ことが許されるのは日本特有の文化であるとされる[2]。これに対し、日本を訪れる外国人の一部からは「麺をすするときの音が不快」「汚い食べ方」という不満があるとされ、日本人の麺の食べ方は外国人に対する迫害に当たるというのが「ヌーハラ」肯定派の主張である[1]。2016年10月にTwitter利用者「戦争法廃止の国民連合政府応援隊」が『今まで製麺業界の圧力で隠匿されてきたヌーハラを暴きます』(詳細は後述)と自身のTwitterで発言[3]、ネット上で話題となったものを『Get Navi』(学研)のウェブ版が取り上げ[3]、更にそれを毎日新聞が転載した[1][3]ことをきっかけにフジテレビの『ユアタイム』や『とくダネ!』が反応し[3]、一気に広まった。
「戦争法廃止の国民連合政府応援隊」の発言の要約は次の通りである。
- ヌーハラとは、日本人が麺をすする音を聞いた外国人が精神的苦痛を感じることである。
- 外国人の多くは猫舌故に啜ることができないことからの嫉妬あるいは負け惜しみ。
- 麺食は世界中で行われているが、現代に至るまで音を立てて麺を啜り、熱い飲食物を平気で食べられるのは日本人だけで外国では熱い飲食物そのものが日本でいういなごの佃煮などの下手物同然で食べること自体が悪食である。
- ラーメンが外国人に受け入れられないのは、日本人が音を立てて麺を啜って外国人を差別しているからである。
- ラーメンの具として豚肉が使われていることはムスリムへの差別であり、世界中が怒っている。
- 外国人の子供が、麺をすすれないことで学校でいじめを受けている。
- 中国や朝鮮から伝来した文化を日本人がデタラメに解釈し、その食べ方を外国人に強制している。
- 東京オリンピックが控える今、政府は“世界的に正しい麺類の食べ方"を日本人に啓蒙するべきだ。
- 外国人を不快にさせる行動を撲滅し、日本人をコスモポリタン足らしめることが21世紀に生きる我々の義務である。
これに対しては、デヴィ・スカルノのように「(麺をすするのは)教養のない田舎っぺ」として支持する意見もあるものの[4]、「麺をすするのは日本の文化であり日本人の勝手」などとして反発する意見も多い。中には「そもそも存在しないハラスメントをメディアが煽り立てている」としてメディア・リテラシーの問題の一つとして取り上げる例も見られる[3]。前述した『とくダネ!』では小倉智昭が「日本の食文化に対して外国人にとやかく言われる筋合いはない」「おもてなしでどんどん音を立てよう」と語気を強める場面も見られた[5]。
また「郷に入れば郷に従え」の格言にもあるように、日本国内では麺をすする行為は許されるべきとしながらも、日本国外では現地のマナーに合わせるべきであるとする意見[6]や、「すすって食べるのが許されるのは蕎麦やうどんなど和食由来の麺類だけ」「洋食由来であるパスタをすすって食べるような行為は(日本国内でも)避けるべき」という意見などもあり、「ヌーハラ」を肯定する側でもどこまでが「ヌーハラ」に当たるかは人によって見解が異なり、定義は定まっていない。
背景
元々日本人が麺をすすって食べるようになった背景としては「空気を取り込むことで、麺やつゆの香りがより一層引き立つ」、「空気を取り込むことで猫舌を克服した」などの由来があるとされている(そのためワインのテイスティングとの類似性が指摘されることもある)。古くは戦国時代にはそのような文化が定着していたという。
ただ一方で、ここまで「ヌーハラ」が話題となった背景には「日本人の中にも猫舌の人はおり、『麺をすする』という行為に批判的な意見も一定数存在する」こともあると言われ、一部の関係者からは「落語の『時そば』の中で蕎麦をすする様子がラジオで広まったことで、『麺類はすすって食べるもの』という誤解が生まれた」という意見も出されている。また評論家の中には「猫舌を克服した反面、麺に限らず飲食物を啜るときに必要以上に音を立てる人間が増えた」「逆に日本人の麺のすすり方が下手になった」ことが、話題が拡大した背景にあるとするものもいる。
なお、ヌーハラについて初めて言及した「戦争法廃止の国民連合政府応援隊」は、その後「なぜか外国人に対するヘイトが日本中に吹き荒れています」「ヌーハラに文句があるなら日本文化や自衛隊をまず糾弾しなさい」とツイートし、現在はアカウントを削除している。
脚注
関連項目
^ a b c d “ヌーハラ”ってどういう意味? 日本特有の新たな「ハラスメント」誕生が物議 - 毎日新聞・2016年10月24日
^ レファレンス事例詳細(Detail of reference example) - レファレンス協同データベース
^ a b c d e 窪田順生 (2016年11月29日). “スピン経済の歩き方:「ヌーハラ報道」に、目くじらを立てる理由”. ITmedia ビジネスオンライン. 2016年12月24日閲覧。
^ デヴィ夫人「ヌーハラ」はっきり言うわよ 麺すするのは「教養のない田舎っぺ」 - J-CASTニュース・2016年12月11日
^ “小倉氏、ヌーハラ論争に断「外国人にとやかくいわれる筋合いない!」”. デイリースポーツ. (2016年11月16日) 2016年12月24日閲覧。
^ 「ヌーハラ」とは何か? - BLOGOS・2016年11月28日
^ a b c 蕎麦をすする音マナー違反?粋な食べ方考 - 江戸ソバリエ石臼の会
^ 海外ではタブーな麺をすする音とワインの密接な関係 - 日刊ニュージーランドライフ・2015年8月25日
^ ヌーハラ考 日本人の麺の食べ方がヘタになっている面もある - NEWSポストセブン・2016年12月4日
^ 本人ツイートのアーカイブ、2016年12月24日閲覧。
カップヌードル - アメリカ合衆国で販売されているカップヌードルは、欧米ではすすって食べる習慣がほとんどないことから、麺を掬って一口で食べられるように短くなっている。
お茶漬け - 永谷園のCMで、音を立ててお茶漬けを食べるシーンが行儀が悪いと、議論になったことがある。
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