2007-2008の世界食料価格危機Ⅳ土壌と生産性の喪失・… 

 

 

農家への影響

もし、世界食料価格危機がローカル市場に影響を与えるならば、世界の開発途上国の農家は食料価格の上昇によって利益を得ることができる。海外開発研究所の研究員によると、これは農家の市場価格の変動に対応できるかという資質に依存するという。経験によれば短期的には農家はクレジットを欠くため取引は迅速性を要するが、近年のアジアの緑の革命やアフリカの多くの国々で見られるように中長期的には彼らは利益を得ることができるという。[66]

暴動と各国政府、地域の対応

価格の上昇はアジア、アフリカの一部で影響を与え、ブルキナファソ[70]カメルーンセネガルモーリタニアコートジボワール[71]エジプト[72]モロッコでは2007年の暮れから2008年初頭にかけて食料が手に入らないことに対する抗議と暴動が起こり、メキシコボリビアイエメンウズベキスタンバングラデシュ[73]パキスタン[74]スリランカ[75]南アフリカでも同様の暴動や社会不安が起こった。[76]

メキシコ

メキシコのフェリペ・カルデロン大統領は財界首脳と会談し150種類以上の食料品の価格を2008年の終わりまで現在の価格のまま凍結することで合意した。この法案は前の月に4.95%を記録し、2004年12月以来最高となったインフレ率を抑制するために導入された。

対象となるのはコーヒーイワシマグロスープ紅茶などで、価格の凍結は12月31日まで実施される。これは連邦政府と連邦商工会議所との間で現在の食料危機を世界と同じレベルまで軽減し、またインフレを抑制するために合意された。

バングラデシュ

食料価格の高騰と安い賃金に怒った1万人の労働者が首都ダッカ周辺で車やバスを壊したり、工場を破壊するなどの行為を行った。この暴動のため少なくとも20人の警官を含む数十人がけがを負った。皮肉なことにこの国では2002年に食料の完全自給を達成していた。しかし、バイオ燃料の台頭のため食料価格は劇的に高騰した。[77]

エコノミストはこの国では1億5000万人のうち3000万人が飢餓の危機に直面する可能性があると推測している。[78]

ブラジル

2008年4月ブラジル政府はコメの輸出を一時的に停止することを発表した。この措置は国内の消費者を保護することが目的だった。[79][80]

ブルキナファソ

ブルキナファソでは食料価格が65%上昇し、2月22日、2番目と3番目に大きな都市で暴動が起きた。しかし、首都ワガドゥグーでは軍が出動し要所で厳戒態勢が敷かれたため抑制されていた。政府は食料への課税を軽減し、政府が持っている食料の在庫を放出することを約束した。ある都市では100人以上の人が逮捕された。[81]

カメルーン

カメルーンは世界第4位のカカオの生産国であるが、2008年2月下旬、暴騰した食料及び燃料とポール・ビヤ大統領が任期を延長することに抗議する大規模な暴動が起こった。この暴動で少なくとも7人が死亡し、[82]その後死者は24人に増え、[68]過去50年間で起きた中で最悪なものとなった。これに対し政府はコメ、小麦粉、魚などの輸入品への課税を軽減を行った。政府は小売業者との間で輸入品に対して減税することで合意した。しかし、2008年4月下旬、物価は下がらず、それどころか上がっているとさえ報告された。[83]

2008年4月24日、カメルーン政府はカメルーンの食料生産を倍増し、食料の完全自給を目指す2年間の緊急計画を策定したことを発表した。[84]

コートジボワール

3月31日、コートジボワールの首都アビジャンで警察が催涙ガスを使用し、食料価格の高騰に抗議する暴動に参加し、市内を占拠していた人々数十人がけがをした。この暴動は食料と燃料の高騰(中でも牛肉は1kg当たり1ドル68セントから2ドル16セントに、ガソリンは1ℓ当たり1ドル44セントから2ドル4セントにわずか3日の間にそれぞれ値上がりしていた)ことに抗議するものだった。[85]

エジプト

エジプトでは4月8日、食料の価格高騰に抗議する暴動が起こり、暴徒らは工業都市エル=マハッラ・エル=コブラ市を占拠したが、その後警察が介入した際に発砲し、少年が頭を撃ち抜かれて死亡した。エジプトでは特にパンの価格が高騰し、最近数ヶ月の間に倍になった。[86]

エチオピア

エチオピアでは旱魃と食料価格危機により数千人が飢餓の危機に瀕している。[87]

ハイチ

2008年4月12日、食料暴動を受けハイチ上院はジャック・エドゥアール・アレクシ首相の解任を決議した[88]。この暴動に関して少なくとも5人が死亡した。[68]米やマメ、果物、コンデンスミルクなどの値段は2007年末以来50%上がり、燃料費は2ヶ月で3倍となった[89]。政府は米の価格を15%値下げして秩序を回復しようと試みた[90]

インド

インドでは2007年、西ベンガル州において食料不足による暴動が起きたと報告されている。また、インド政府は高付加価値のバスマティ種を除くコメの輸出を停止した。[91]

インドネシア

インドネシアでは2008年1月以降主な食料品とガソリンの価格が約2倍になり、食料価格高騰に抗議する街頭デモが行われた。[92][93]

南米