共謀罪 Ⅴ【前】共謀段階で自首した犯人に必要的減刑・免除を…
そもそも条約批准に共謀罪は必要なのか
共謀罪はそもそも国際組織犯罪防止条約を批准するために立法化されるという前提だったが、第164回国会の会期末近くになって、新たな論点として、そもそも批准目的の共謀罪は不要ではないかという新たな論点が浮上している。これは、国連薬物犯罪事務所(UNODC)が作成した「国際組織犯罪防止条約を実施するための立法ガイド」の内容に関係する。具体的には、パラグラフ51として英文で
- The options allow for effective action organized criminal groups, without requiring the introduction of either notion-conspiracy or criminal association-in States that do not have the relevant legal concept.
となっている部分の解釈である。仮訳は
- これらの選択肢は、関連する法的概念を有していない国において、共謀又は犯罪の結社の概念のいずれかについてはその概念の導入を求めなくても、組織的な犯罪集団に対する効果的な措置を取ることを可能とするものである
となっている。
- 反対派の意見
- 賛成派の意見
-
- 外務省は、仮訳が正しく、これは共謀罪と参加罪の片方のみ不要とする内容であるとする。
- そもそも、条約にどう規定されているかがまず重要であるが、条約上、共謀罪と参加罪の双方又は一方を犯罪とする義務があることに疑いはない。立法ガイドがこれを覆すわけがなく、立法ガイドも、少なくともどちらかを選択する義務があることを当然の前提とし、片方を選択すればもう片方は選択しなくてもよいという意味で書かれたものである。このことは、立法ガイドを作成した国連の「UNODC」からも確認されている(外務省のホームページより:念のため、「立法ガイド」を作成した国連薬物犯罪事務所(UNODC)に対してご指摘のパラグラフの趣旨につき確認したところ、UNODCから、同パラグラフは共謀罪及び参加罪の双方とも必要でないことを意味するものではないとの回答を得ている)[10]。